なにやらコムズカシク感じそうだが、要するに同じ量の白砂糖を食べるより、小麦粉のほうがグーンと血糖値をあげる、という話だ。
一般的な小麦粉の成分は、多いものから順に、でんぷん(これが糖質)、たんぱく質、食物繊維、脂質。このうち、小麦でんぷんの大半を占める糖質「アミロペクチンA」は、ほかの炭水化物に含まれる糖質よりずっと効率的に血糖(血液中のブドウ糖のこと)へと変換される性質をもっている。
だから、小麦を食べるとあがるあがる。血糖値はうなぎ登りなンである。
そういっても曖昧模糊としているから、小麦でどのくらい血糖が上昇するのかを、血糖インデックス(以下、GI値)という数字を使って説明してみたい。
GI値は、ある食品が血糖値をどのくらい上昇させるかを示す指標だ。基準値は、ブドウ糖の100。
すでにさまざまな研究機関が調べた数字があるので、それを引いてみたい。
まず、こちらをご覧いただきたい。トロント大学の最初の研究での調査結果を図にした。
GI値の高いものから順にならべると、小麦全粒粉パン(GI値72)、精白パン(69)、チョコレート(68)、砂糖(59)、スニッカーズ(41)。とても興味深い。
ここでもうひとつ、別の研究機関の測定結果を引いておきたい。先述のとおり、GI値は研究機関によって差があるからだ。
この図は、シドニー大学の調査結果をもとに描いた。シドニー大学の人類栄養部門は、GI値のテストを数十年にわたって実施しており、GI値研究では世界の最先端をいく。
GI値を高いものからみていくと、精白パン(89)、小麦全粒粉パン(74)、チョコレート(42)、砂糖(59)、スニッカーズ(43)。トロント大学のデータと似通っている。チョコレートのみ大きく数値が異なるが、市販品によって、極端に甘いものから大人向けのビターなものまでさまざまあるから、とくに不自然ではない。
小麦のGI値、日本のWEBサイトでは上記の世界標準からかけ離れた、低い数値が一般的である。わたしは陰謀論者ではないから、資本家のバイアスがかかっているのだろうか、と勘ぐるつもりもないが、不思議だ。日本は、グルテンフリー後進国ということか。
おわかりだろうか。これが、小麦の糖質「アミロペクチンA」が「スーパー糖質」の異名をとるゆえんなのだ。
一般に、全粒穀類(未精製の穀類)は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの不純物を含むため、精製した穀類にくらべると、血糖への影響はかなりおだやかになると考えられている。ところが、小麦のアミロペクチンAには、こうした常識さえあまりあてはまらないのである。
これは、品種の差(パンコムギとデュラムコムギ)ではなく、混練(真空で練って、密度を高める)や成型といった、パスタ特有の製造工程が関係していると考えられている。
その証拠に、パスタは摂取後最大6時間たっても血糖値を上昇させつづける性質を持っており、肉体への影響はやはり非常に大きいのだ。
次の記事「糖質が病気をつくる」では、血糖値を急上昇させることで、わたしたちの身体にどんな害がおよぶのかを解説しよう。
参考文献/Dr.William Davis 2013『小麦は食べるな!』:46-52,日本文芸社.
Dr.Jennie Brand-Miller 2006『The New Glucose Revolution』Da Capo Press.
砂糖のGI値が 59ですか?
倍くらいあると思ってました。
一般的には 109なんていうふうに記載されてることが多いですよね。
どこかに書いたように思いますが、GI値は測定に使用した食材や被験者の体質、その日のコンディションなんかによって数値がかなり変わります。あくまで参考程度にとどめておくのがベターかと。