「グルテン」は、小麦や大麦に含まれるたんぱく質の一種だ。
パンやピザ生地をふくらませたり、もちもちした食感をだしたり、麺にしこしこした歯ごたえを与えているのはこの成分なのだが、じつは小麦粉の時点ではまだ存在していない。
水をくわえてこねることで、小麦粉に含まれている、性質の異なる2つのたんぱく質「グリアジン」「グルテニン」が結びついて「グルテン」になるのである。
- グリアジン……粘着力が強く、伸びやすいが、弾力性は低い。
- グルテニン……弾力性が高いが、伸びにくい。
- グルテン(グリアジン+グルテニン)……弾力性と粘着性を併せもつ。
小麦粉に含まれるたんぱく質の割合は10%程度。このうち、グルテンは約80%を占める。グルテン含有量は、過去50~60年の度重なる品種改良によって増大しており、さらにこの品種改良によって、グルテンが毒性をもったという点には、世界中が大きな関心を寄せている。
そのあたりの話は以下の記事「グルテンフリーとは」に書いている。
事実、この半世紀、グルテンアレルギー(グルテン過敏症)やその究極形であるセリアック病の発症者数は急増している(米国では現在、20人に1人)。
さらにグルテンアレルギーでなくても、グリアジンはヒトの腸粘膜を傷つけたり、強い中毒性があることもわかっている。
グリアジンには麻薬作用があり、食べると脳が快感を覚え、中枢神経に働きかけて、食欲を増進させる。1日あたり400kcalも余計に摂取してしまうくらい、その中毒性は強烈だという。くわしくは以下の記事に書いた。
小麦を主食にする欧米各国の研究者らの尽力によって、グルテンは肥満やメタボ、消化と免疫のシステム、にきびなど皮膚疾患、老化に大きな影響を与えていることがわかってきた。
さらに小麦は、ほかのでんぷん質よりずっと急激に血糖値を上昇させる「アミロペクチンA」を含んでおり、糖尿病ほか多数の生活習慣病の原因にもなっている。
われわれの肉体を知らないうちに内部から傷つけている小麦を食すのをやめよう、という食事スタイルがグルテンフリーである。
画像内キャプション:【胚乳】糖質とたんぱく質が主成分。グルテンやアミロペクチンAを含むのはここ。小麦粒の約83%を占め、小麦粉になる部分。【表皮(ふすま)】米のもみ殻に相当。全体の約15%を占める。【胚芽】脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミンを含む。全体の約2%。健康食品に利用されることも。
食べられるものを教えてほしい。
そう感じるということは、ななさんはすでに小麦中毒なのかもしれません。米、肉、魚、野菜、種実、果物……。グルテンフリー食品はいくらでもありますよ。