小麦グルテンは、粘りのある小麦特有のたんぱく質。
もっちりとしたうどんやラーメン、ふんわりしたパンを味わうことができるのは、何を隠そう、コイツのおかげ。グルテンがあるから、小麦粉はあんなふうに伸ばしたり広げたりできる。
小麦グルテンがなくなれば、すべての製麺所やパン屋は頭を抱えることだろう。あまつさえ、ピザ職人は職を失うにちがいない。グルテンのない小麦粉など、いくらこねくりまわしたところで、ぶちんぶちんと切れてしまって、用をなさない。
「グルテンフリーとは」に書いたように、ロックフェラーが半世紀前から数十年にわたっておこなった品種改良で、小麦のグルテン含有量は増えた。小麦粉の柔軟性はさらに増した。ここまではよかった。
問題は、グルテンに強い毒性を与えてしまったことだ。
地球上に存在する小麦の99%以上がいまや、ヒトにとって有毒なものとなっている。
小麦グルテンは日々、われわれの肉体のあらゆる器官に影響をおよぼし、あらゆる部位に抗体をつくりだしている。花粉症などほかのアレルギーにもいえることだが、許容量を超えなければどうということはない。
だが、ほかのアレルギー同様、抗体数が一人ひとりの許容量をうわまわったとき、症状は一気に表面化する。
その際のインパクトは、花粉症よりはるかに強烈だ。というのも、グルテン抗体はIgGタイプ(遅延型)。花粉抗体に代表されるIgEタイプ(即時型)とちがい、1度できると抗体が抗原と結びつき、血流に乗って体内のすみずみにくまなくいきわたり、数週間から最長1年にもわたり、活動しつづけるのだ。
くしゃみや鼻水どころの騒ぎではない。全身の免疫システムをかき乱し、さまざまな部位で炎症を引き起こす。あらゆる病気の火種になることがわかっている。
代表的なのは、次のようなものである
関連する疾患 | 詳細 | 備考 |
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胃酸逆流 | 軽度のグルテンアレルギー患者に多く見られる。胃酸が食道を逆流し、食道が胃酸(塩酸)で溶けて、炎症が発生する。逆流性食道炎に発展するケースも少なくない。 | |
過敏性腸症候群 | 便秘と下痢、あるいはその両方が交代で訪れる症状だ。腹痛や、腹部の不快感がつづく。こちらも軽度のグルテンアレルギー患者によく見られる。 | |
糖尿病 | 子どもに多い1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)の発症リスクは20倍にもなるそうだ。 | |
肝臓病 | 脂肪肝から肝炎、肝硬変、最悪のケースでは肝臓がんを発症することもあるという。 | |
自己免疫疾患、アレルギー疾患 | 関節リウマチ、全身エリテマトーデス、ぜんそく、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、クローン病、橋下病など。 | →詳細記事へ |
皮膚疾患 | 疱疹状皮膚炎、口内炎、口角炎、皮膚筋炎、ヘルペス、白斑、乾癬、ベーチェット病、脱毛症など。 | →詳細記事へ |
神経障害 | 平衡感覚の障害や運動障害、痛み、脳障害など。 | |
セリアック病 | 代表的な症状は、下痢や腹痛、重度の栄養失調、体重低下。関節炎や神経障害、精神疾患、頭痛、不妊などがあらわれることもある。 | →詳細記事へ |
グルテンアレルギー(グルテン過敏症)は発見困難
関連疾患は数百におよぶ。
やっかいなのは、グルテンアレルギーが小麦アレルギーと異なる点だ。小麦アレルギーなら小麦だけを断てば解決するし、日本の病院で受けられる、一般的な血液検査で判定が可能だ。
ところが、グルテンアレルギーはそうはいかない。小麦グルテンに似た構造のたんぱく質を含む穀類――ライ麦、大麦、ライ小麦などと交叉反応が起こる可能性がある。
さらに、特別な検査でないと確認できないのも困りものだ。それ以前に、日本の医療現場ではいまのところ、グルテンアレルギーの認知が進んでいないので、医師マターで検査がおこなわれることも期待できない。
かりにグルテンアレルギーを発症していたとしても、病院で見つかる可能性はほぼない、ということなンだ。むろん、われわれには、自分の身体の抗体許容量がどの程度なのかなんて知るよしもない。
だから、チェックシートを作成してみた。気になる方は自分でチェックしてみてほしい。
グルテンアレルギーのアメリカにおける発症率は20人に1人。軽度の患者を含めると、5人に1人という専門家もいる。日本にも、潜在的な患者が相当数いることだろう。
ちなみに、重度のグルテンアレルギーとして知られる「セリアック病」の発症率は約1%。現状、こっちも診断が非常に難しく、グルテンアレルギーの啓蒙が進んでいるアメリカでさえ、セリアック病を発症している人の90%が、自分がセリアック病と気づいていないのが実情だ。
グルテンのグリアジンが擁する、驚愕の攻撃力
小麦グルテンにはさらに驚くべき特徴がある。グルテンの成分のひとつである「グリアジンたんぱく質」に、健康な腸粘膜をすり抜ける力があるのだ。
このときの刺激によって、腸粘膜の細胞の結合がほどけてしまうことがわかっている。すると、さまざまな異物が体内へ侵入し、体中のあっちこっちで炎症が起きるのだ。まずいのは、グルテンアレルギーを持っていない人にもこれが起きる、ということだ。
また、小麦に含まれる、グルテン以外のたんぱく質も、ヒトの免疫系に影響を与えることがわかっている。ぜんそくやじんましん、アトピー性皮膚炎、運動誘発性アナフィラキシー(運動中のぜんそくや発疹)などを引き起こすことがあるという。
- 小麦は、1000種以上のたんぱく質を含む。
- 含有量のもっとも多いグルテンは、セリアック病やグルテンアレルギーの原因。
- 糖尿病や肝臓病、自己免疫疾患、皮膚病などを引き起こしている。
- グリアジンは、過敏症でない人の腸粘膜にも穴を開ける。
- αアミラーゼほか10種以上の、グルテン以外のたんぱく質も、ぜんそくやじんましん、アトピー性皮膚炎などを引き起こすことがある。
グルテンのアレルギーや過敏症のセルフチェックで怪しい人は、グルテンフリーを行ない、グルテンを含む食品をやめるだけで、QOL(生活の質)がいちじるしく改善する可能性がある。
初めまして。
わたしは再生不良性貧血が発病して10年になります。
ベンカラノ下血で病院にかつぎ困れたその日に
血液が壮絶に減りました。
免疫異常で造血細胞の停止。
原因不明のままですが、グルテンから来た可能性が
高いので今はグルテンフリーの生活してます。
勉強になりました。
堀さん、はじめまして。グルテンが再生不良性貧血を引き起こす可能性があるのですか。
こちらこそ勉強になりました。コメント、どうもありがとうございました^^
両足に激しい痒みを伴う水疱が出来ました。皮膚科受診すること、かぶれとの事。何にかぶれたか不明とは言え、症状からステロイド入りの軟膏と抗生剤が処方されました。
しかし、症状は悪化する一方
激しい痒みと灼熱感で数日不眠…
かぶれな訳無い…ネット検索すると、疱疹状皮膚炎 グルテンによる自己免疫疾患 この症状がぴったりでした。
グルテンフリー食にするしか方法が無い。と言う事で早速開始
2日目には症状の改善がみられました。
総合病院の皮膚科医師に相談してみましたが、小麦アレルギーは子どもが成るものでしょう。50歳で
すよね〜。と笑われました。
疱疹状皮膚炎❓
原因不明 かぶれにしか見え無いけどね〜と…
長引いて効かない軟膏塗り辛い思いをしている方沢山居るんだろうなぁ〜。と思います。
ありがとうございました。
そうですよね。病院通いを何年つづけていても、不定愁訴が一向に改善しない――こんな方、少なくないと思います。現代医療は対症療法が中心。目に見えている症状を、物理的あるいは科学的な処置に抑えこもうという考え方です。でも、万病の原因はじつはからだの内側にある、ということにもっと目を向けてほしいものです。
コメント、ありがとうございました。どうぞお大事になさってください^^
さまざまな書物や論文などを渉猟し、わたしが手にしたこの知識は、どなたかのお役にきっと立つはずだ、との思いではじめたブログですもので、そんなふうにいっていただけるとたいへんうれしいし、励みにもなります。こちらこそありがとうございます。
本当にありがとうございます。
グルテンフリー食1週間目
足の水疱や皮膚炎・筋肉痛やシビレが軽減しただけでは無く、
「顔色が良くなった。」
と娘に言われました。
肌のくすみが取れ、血色が良くなって来た事を自覚し、集中力を取り戻し❓疲労感❓から脱出しつつあります。
❓❓回復順調の皮膚炎に新しい水疱が一つ…
探偵は考えました。
美味しい「はちみつ梅干し」に
還元水飴が入って居ました。
名探偵に変身(^◇^;)と
一度グルテンアレルギーに成ると少量でも再発する。という事の再現なのだと思いました。
還元水飴 は麦が原料でした。(^◇^;)
小麦アレルギーとは違う
グルテンアレルギーに間違え無い事を再認識致しました。^_^
いえいえ、なんにせよ快方に向かわれているようでなによりですね^^
グルテン除去食10日目
両足部に出来た「疱疹状皮膚炎」都思われる皮膚の炎症が回復に向かい、足に「土踏まずのアーチ」が出来ました。
20年以上 どこを指圧しても痛かった「足裏のツボ」
特にに 胃腸のツボ痛く無いではありませんか…
驚きです。
アレルギー、とくにグルテンアレルギーを含む遅延型アレルギーは、当人が気づかぬうちにさまざまな不調を引き起こしている、といわれています。さとうさんのケースも、その顕著な例なのかもしれませんね^^
初めまして。
グルテンフリーを始めて3週間弱の40代のオッサンです。
お陰様で30年以上付き合いのあった便秘さんとおさらばできました。何となく体も軽くなったような気もします。
これからも葉山さんのブログを参考にグルテンフリーがんばっていこうと思います。
ありがとうございます。
めっそうもない。こちらこそ、コメント頂戴しましてどうもありがとうございました。
コメント、ありがとうございます。
不定愁訴が改善なさっているご様子、なによりです。サプリメントはグルテンフリーのものをチョイスすればよろしいかと。
どうぞお大事になさってくださいませ。
葉山拝
ブランパン食べますか?
食べたことないですよ^^
15歳、中学生です。
グルテンについてジョコビッチ選手の本を読んで学びました!僕は陸上の長距離をやっていて来月に行われる都道府県駅伝に出場するくらいの選手です。グルテンフリーの生活に出来るように頑張っていますが、今は成長期というのもあり栄養が偏りすぎないようにし、親が出された料理もちゃんと食べるようにしています。餃子や唐揚げなどグルテンが含まれてるのでも。このような食材のグルテンの影響はパンと比べてどれ程のものなのでしょうか?それとナッツ類はグルテンを避けながらたんぱく質を摂取できるので良いと聞いて食べるようにしてますが、経済的な面もあり、それほど高い品質のナッツ類は買うことができず安いナッツ類のほとんどは製造工程で小麦が含まれています。製造工程で含まれているとどんなに続けていてもグルテンフリーの効果はプラマイゼロといったところなんでしょうか?僕の夢は世界大会でメダルを取ることです。そのためにはどんなに才能や努力があってもこのような生活や食事で世界との差を詰めていかなければなることはできないと思うので日々自分を変えていけるよう努力しています。完全なグルテンフリー生活ではありませんが意識して生活して二種間ほど経ちました。目立った効果は見られませんが去年の冬にあった暴飲暴食な欲はなくなり体重維持に繋がっている気がします。積み重ねで成果が出ることを信じて頑張ってます。
お時間に余裕があれば色々教えて頂けませんか。
長文失礼します。
シュンさん、はじめまして。
そいつはスゴい。わたしこそいろいろ教えてほしいくらいです。実は最近、ランニングにハマっているのですけれど、なかなかタイムが伸びない。どうもフォームがまずいのだろうと薄々感づいてはいるものの、ひとりでやっているもので、どこをどう矯正していいものやら……。途方に暮れています(笑)。
さてご質問の件。餃子や唐揚げとパンを比較したら、パンのほうがずっとグルテンは多いと思いますよ。なにしろあれ、小麦粉のかたまりですから。
ナッツに関しては、シュンさんが食されている商品の成分表示を確認したわけでないから正確なことはいえませんが、「本製品工場では、乳、卵、小麦などを含む製品を生産しています」というような記述があるんら、それはコンタミネーション(混入)の可能性があるといっているだけです。セリアック病やグルテンアレルギーでないなら、そして心配しなくてもいいかなとわたしは思います。
それにしてもシュンさんはしっかり未来を見据え、ライフスタイルのすべてを自分できちんとコントロールしようとなさっている(その年で!)。わたしも中学のころはスポーツに打ちこんでいましたが、それほどのストイックさの持ち合わせはありませんでした(トレーニング中に考えるのは、あとで部活仲間と食べに行くハンバーガーやラーメンのことばかり)。
ジョコビッチ選手が書かれているように、毎日の食生活と心身のパフォーマンスは世間が考えるよりはるかに密接に結びついている、とわたし自身もいまは実感しています。むろん二週間やそこいらで目に見える結果が出るほど単純な話ではないのでしょうが、意味がないともけっして思いません。
がんばって!
葉山様初めまして、僕は10年前からアトピー性皮膚炎に悩まされていました。そして昨年の今頃は顔から首筋、背中と腹部、鼠径部から太腿、ふくらはぎから足先まで炎症が広がり、激しい痒みで睡眠すら妨害される日々が続いていました。
ステロイド軟膏もほとんど効果がなくて途方にくれていましたが、行きつけの床屋さんの主人が、僕のあまりにも酷い湿疹を見かねて「小麦を止めてみたらどうですか?」と言われたのですが、その時には何のことだか全く意味が理解できませんでしたが、聞いていると小麦の入った食物を食べると様々な病気を引き起こすと言うのです。
え、?小麦が悪いならばパスタが主食のイタリアでは皆病気になってしまうのではないですか?、と半信半疑で床屋さんを後にしましたが、家に帰ってパソコンで検索してみれば、グルテンの害がずらずら~っと出てくるではないですか。
ですので薬が全く効果がないのだから、小麦断ちをやってみようと決断してその日(昨年9月5日)からパン、うどん、ラーメン、パスタ、など小麦製品をできるだけ口にしない食生活を始めました。
小麦断ちを開始してもしばらくは改善が見られませんでしたが効果が出始めたのは4か月ほど経過した年末くらいからでした。少しアトピーの痒みが弱まった感じでしたが、まだそれほど明確な効果は感じられませんでした。そしてそれから2か月経過して小麦断ちから通算6か月経過した頃には、もはや確実にアトピーが治癒の方向を向いていることは確実に感じられるようになりました。痒みがピーク時の半分以下になり、かぶれていた皮膚も改善されてきました。
しかし驚くべきことに改善されてきたのはアトピー性皮膚炎だけでなく、僕は腰痛があり膝も痛みが酷かったのですが、気が付いてみると腰痛と膝の痛みが軽減されていました。以前よりも軽くなっている感じでしょうか。また頻繁に起きていた片頭痛は皆無になりました。
現在は小麦断ちから10か月経過してさらにアトピーは改善されています。アトピーの黒ずんだ痕が全身にまだ広がっていますが、それらも少しづつ正常な皮膚に戻りつつあります。藁をもす縋る思いで始めた小麦断ちですが結果的には大正解でした。今まで使ったどのような薬よりも大きな改善がみられました。当然ですがこれからも小麦断ちは続けます。
偶然葉山様のサイトにたどり着きましたのでご参考までに私の小麦断ちの経過を報告させていただきました。おそらく私の場合は強度のグルテンアレルギーなのではないかと思います。
そうですか。それはよかった。一度、グルテンアレルギーかどうか検査で確かめてみるのもいいかもしれませんね。参考になるコメント、どうもありがとうございました。