糖質(糖化、AGE)は老化の原因

AGE(アクリルアミド)というのは、長年かけて体内に溜まったゴミである。

赤ん坊より子ども、子どもより若者、若者より中年と順番に多くなり、老人の体内にはたっぷり堆積している。節くれだった手、にごった目玉、しわしわの皮膚などは、大量のAGEに犯されている証だ。

AGEは「Advanced Glycation Endproduct」の略だが、文字どおりage(高齢)の指標である。糖化最終生成物とか終末糖化産物ともいう。

沈着しやすいのは、腎臓や肝臓、眼球、皮膚。というか、全身どこにでも。

AGEの生理学的作用を挙げると、

  • 血液のろ過機能を低下させる。
  • 動脈をつまらせる。
  • 体内の酸化を促進させる。
  • 炎症反応を引き起こす。
  • 脳細胞の働きを悪くする。
  • 関節を硬く、そしてもろくする。

なにひとついいことがない。

糖質摂取→糖化→AGE生成→老化

AGEはどこからやってきてどこに行くのか――これはとても気になるところ。

どこからやってくるのかというと、

  1. 食べ物にあるAGEを経口摂取
  2. 体内の糖化反応により生成

この2つのルートがある。

どこへ行くのかというと、どこにも行かない。いったん体内に蓄積されたAGEは、体外に排泄も排出もされない。死ぬまで居座って、悪行を働いている。

1.食べ物に含まれるAGEを経口摂取

AGEは動物性食品に多く含まれている。とりわけ焼き物や揚げ物に多い。高温で長時間調理するほどAGEが増えるからだ。

たとえば、生の牛肉100gに含まれるAGEは約700kUだが、フライパンで焼くと10,000kUを超える。鶏肉も生肉なら100g中800kU程度だが、唐揚げにすると10,000kU近くになる。

加工食品にも要注意。ベーコンは100g中にAGEを90,000kU、バターは同26,000kU、チーズは同9,000kU、焼いたソーセージは5,400kU含んでいる。いずれも高AGE含有食品なのだ。

こうして外からやってきたAGEの7%ほどが体内に蓄積することがわかっている。

肉はなるべくレアがいい。
糖質 糖質が病気をつくる

2.体内の糖化反応によるAGE生成

AGEはわたしたちの体内でも日々、産生されている。

材料はブドウ糖とたんぱく質だ。経口摂取した糖質(炭水化物)がブドウ糖に変化されて血中にあふれだすと、体内のたんぱく質と結びついてAGEが誕生する。これを糖化反応という。

炭水化物摂取後に起こる糖化とAGE生成プロセス。AGEが鎖状につながった高分子化合物はより危険

糖質を供給すればするだけ、つまり血糖値をあげたぶんだけ、AGEは増え、ヒトは老いるのだ。小麦を筆頭にGI値の高い食品はエイジング促進剤と呼んでもよさそうだ。

こうしてみると、あらためて糖尿病の危険性が浮き彫りになる。なにしろ、糖尿病間者の食後の血糖値上昇ぶりは尋常でない。空腹時血糖値でさえ、普通の人の最低4割増し。食後の血糖値は何倍にもなるからだ。

毎食、大量のAGEが溜まっていく。実際、糖尿病間者の血液を調べると、6割増しのAGEが発見できるという。そうして、このAGEが3大合併症(神経障害、視覚障害、腎臓病)の発症リスクを高める。というより、これら合併症は、糖尿病(血糖値が高い状態)そのものでなく、じつはAGEが引き起こしているのである。糖尿病ならいますぐ糖質を制限すべきだろう。

むろん、糖尿病でない人にAGEがもたらす健康被害も無視できないレベルだ。AGEが蓄積すると、どんな病気になるかをざっくり挙げてみよう。

糖化とAGEがもたらす老化の症状と疾患

AGEからくる老化の初期症状その延長線上にある疾病
皮膚のたるみ、しわ皮膚の老化
眼球のにごり白内障
ふしくれだった手関節炎
腎機能低下腎臓病
精力減退勃起不全(ED)
動脈硬化心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、腎硬化
骨密度の低下骨粗しょう症
脳細胞の機能低下認知症
組織の劣化がん

AGEとがんの関係が最近、わが国でよくフォーカスされている。すい臓がん、乳がん、肺がん、結腸がん、前立腺がん……関連が確認されているだけでも、これだけのがんをAGEが引き起こしているのである。

ラーメン、おにぎり、そば、うどん、お好み焼きにパン、焼きそば、ピザ、パスタ……。これまでどれほどの炭水化物を摂取してきたことだろうか。AGEをおろそかにする半生であった。

これが、グルテンフリーがアンチエイジングに効果があるとされるゆえんだ。

老化予防や若返りをさらに確実なものにしたいなら、グルテンフリー食と合わせて、糖質制限食を実践するといいだろう。

6 COMMENTS

山崎史人

現在AGEに興味を持っている者です。
食品中のAGEがどのように体内に取り込まれるのかを知りたいと思っています。
本文中に「外からやってきたAGEの7%ほどが体内に蓄積することがわかっている。」とありますが、この引用文献を教えて頂けないでしょうか?
「外からやってきたAGE」とは小腸から吸収されたAGEということか、小腸内に入ったAGEということか?
また、「7%程が蓄積」とは体内で生成したAGEとどのように区別して定量したのか?
そのへんのところが分かりましたら、お教え下さい。
AGEの影響について友人と話をしている段階で、色々と分からないことがあり、調べている次第です。
申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

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葉山

山崎さん、こんにちは。

コメント拝読しました。なにか研究でもなさっておられるのでしょうか。

さてさて、7%という数字の出典は、こちら。

もう一つは外から取り込むAGE。「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」はいろいろな食べ物・飲み物の中にも含まれ、私たちは食事や間食として取り込んでいるのです。
わかりやすい例として、ホットケーキを挙げてみましょう。小麦粉(糖)と卵や牛乳(タンパク質)をミックスして加熱すると、ホットケーキが焼けます。そして、ホットケーキ表面のこんがりキツネ色になっている部分こそが糖化した部分。ここにAGEが発生しているのです。
こうした飲食物に含まれるAGEの一部は消化の段階で分解されますが、約7%は排泄されずに体内に溜まってしまいます。(出典/AGE測定推進協会ホームページ

「外からやってきた」というのは文字どおり、外界からやってきたという意味で、食べ物に含まれているAGEを指します。定量分析の方法については、素人のわたしにはわかりかねますので、このAGE測定推進協会にお問い合わせなさってみてください。顧問の大学の先生方ならご存知だと思います。

参考になれば幸いです^^

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山崎史人

早速のお返事、ありがとうございました。
お教え頂いた協会に問い合わせてみます。
数値というのは、わかり易いのですが、どのように測定したか、どう計算したかで変わるものですので、その辺りを知りたいと思った次第です。
改めまして、お礼を申し上げます。

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葉山

ベーコンというのは本来、豚肉の塩漬けにしたシンプルな保存食品です。けれども、スーパーなどにある市販のベーコンのほとんどは、水あめや砂糖、化学調味料などで味つけ、あるいはかさ増しされています。糖質ゼロではないのです。だからわたしは買いません^^

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