糖質(炭水化物)と糖尿病は蜜月だ。
考古学者に聞けばわかる話だが、いまから1万年以上前――農耕が始まる以前の狩猟採集社会に糖尿病は存在しなかった。ヒトが糖尿病で命を落とすようになったのは、穀類を食べはじめてからのことなのだ。
初めのうちは、汗水垂らして働く必要がない王族や貴族らの贅沢病だった。それが一般市民に広がったのは、19世紀後半から20世紀にかけて。砂糖を食べるようになってからという。
そうしてこの半世紀というもの、先進国はどこも糖尿病の爆発的増加とそれにともなう医療費の増大に頭を抱えている。
わが国の患者数も例にたがわず、戦後は右肩あがりに急増している。厚労省の調査によれば、2012年の糖尿病人口は950万人。前回(2007年)の調査から60万人アップ。過去最多を記録した。さらに、糖尿病予備群と呼ばれる人たちが糖尿病人口の3~4倍ほどいる。
わが国の糖尿病の医療費は年間約1兆2000億円。合併症を含まない数字だ。実際はこんなものではすまない。
1位 循環器系の疾患 5兆7973億円。
2位 がん 3兆8120億円
3位 筋骨格系と結合組織の疾患 2兆1647億円
4位 呼吸器系の疾患 22兆1507億円
5位 腎尿路生殖器系の疾患 2兆144億円
糖尿病患者1人あたりの自己負担額は4~13万円。
数字に開きがあるのは、治療方法のちがいによる。
糖尿病治療の各段階 | 自己負担額 |
---|---|
STEP1. | 診察料や検査料など、ごく基本的な診察費のみですむため、毎月の自己負担額(3割)は約3600円。年間自己負担は約4万3000円となる。 |
STEP2. | 2種の薬を処方されているなら、そのぶんの費用が上乗せとなるため、月々の自己負担額は約7500円。年間約9万円になる。 |
STEP3. | インスリン療法は、薬代にくわえ、自宅でみずから注射や血糖値測定をおこなうための指導管理加算などが加算される。このため、月の自己負担は約1万1000円で、年間約13万2000円が必要となる。 |
なお、こうした治療プログラムをきちんとこなしていても、糖尿病はじわりじわりと進行し、インスリン療法へ突入する患者があとを絶たない。
糖尿病? あんなものは贅沢病だ。食い意地の張ったヤツがなるんだから、食事制限なんぞ続かなくって、医者の目盗んで飲み食いしてるうちに手足なくして、光(視力)失って、おっ死(ち)んじまうんだよ。
子どものころ、近所に住んでいた口の悪いジジイの口癖だ。奥方が糖尿病で亡くなったのになんたる暴言を吐くのか、と当時は思っていたが、本当はそうではなく、単に口惜しかっただけなのかもしれない。
たしかにあのじいさんのいうとおり、なかには食い気に負ける患者もいるかもしれない。けれど、たいていは栄養士が決めた食事プログラムをしっかり守っていると思う。なにしろ命がけだ。
それでも一向によくならない、それどころか悪化するというケースが少なくない。根本的なアプローチの仕方に問題がある、と考える人があらわれるのは道理だろう。
- まずは内臓脂肪を減らすため、カロリー制限と運動療法を指導して様子見。
- 効果が得られず、インスリン抵抗性が生じたら、投薬開始(血糖降下薬)。
- すい臓がインスリン産生をやめたら、インスリン注射で強制的に血糖値をさげる。
事実、近ごろは糖尿病学会や御上が策定した治療ガイドラインに異議を唱える医師が続々(とまではいかないが)登場している。彼らの主張はじつにシンプルだ。
- 糖尿病を引き起こすのは、インスリン抵抗性。
- インスリン抵抗性を生じさせ、悪化させるのは内臓脂肪。
- 内臓脂肪をためこむのは、食後高血糖によって起こるインスリン追加分泌。
- 食後に血糖値をあげるのは、たんぱく質でも脂質でもなく、糖質(炭水化物)。
- だから、糖質を断てば、糖尿病を根っこから断ち切れる。
ここで糖尿病の発症メカニズムを見てみよう。
- 糖質を摂取する(炭水化物を食べる)。
- 血糖値が上昇する。
- 血糖値をさげるため、すい臓がインスリンを分泌する。
- インスリンは内臓脂肪を増やす。
- 内臓脂肪がインスリン抵抗性と体内の炎症を引き起こす。
- 以上の繰り返しによって、すい臓がダメージを受ける。
- やがてダメージが限界点を超え、すい臓が破損。
- インスリン分泌能が低下。
- 糖尿病を発症する。
どちらが合理的な解決策かは一目瞭然だろう。
現在の治療法は4の内臓脂肪にしかアプローチしておらず、その後も後手後手にまわっている。
新機軸の治療法(糖質制限)はちがう。インスリン抵抗性からさかのぼり、大本の原因である糖質の摂取を制限しようという考え方に行き着いている。
現在の糖尿病治療は、糖質の制限をまったく考慮しない
現在の糖尿病の標準治療には、次の3つの矛盾点あるいは問題点がある。
1.食事療法の問題点
内臓脂肪は、皮下脂肪にくらべて落としやすい脂肪とされる。体重を5%減らせば、インスリン抵抗性の改善も期待できるという。
そこで、糖尿病患者にまっ先に導入されているのが、食事療法と運動療法だ。運動療法の意義について異論を唱えるつもりはまったくないが、食事療法に関しては疑念をはさむ余地がおおいにある。
というのも、現在の食事療法の中身はこのとおり。
まずは食事療法!
糖尿病と診断されたら、身体活動量等に合わせた食事をする必要があります(食事療法)。食べてはいけないものはありませんが、自分にあった分量の食事で、必要とするすべての栄養素をとるように工夫します。バランスのとれた食事ですので、家族と一緒に食べられます。
1日に食べる量は、お医者さんから指示を受けますが、目安としては、次のとおりです。
総エネルギー量 = 標準体重 ✕ 仕事別消費カロリー
仕事の種類 | 消費カロリー(標準体重1kgあたり) |
---|---|
軽労作(デスクワークが主な人、主婦など) | 25~30kcal |
普通の労作(立仕事が多い職業) | 30~35kcal |
重い労作(力仕事の多い職業) | 35kcal~ |
一瞥したかぎりでは問題ないように感じる。
が、「インスリン」の記事などにも書いたが、内臓脂肪を増やすのはインスリンであり、炭水化物(糖質)だ。たんぱく質や脂質は高カロリーだが無視していい。上記の食事療法の背景にあるのは、摂取エネルギーはすべて内臓脂肪に変わるだろう、という誤解か錯覚、あるいは科学考証不在の乱暴なロジックだ。
やるべきは糖質制限であり、カロリー制限ではない。糖質制限だけが、インスリン抵抗性を改善し、内臓脂肪を減らす可能性を秘めている。
「以前、ADA(アメリカ糖尿病協会)推奨の食事療法を患者に指導していました。でも、患者たちはさらに太り、血糖値の調節機能は低下し、薬に頼りきるようになったのです。腎疾患や神経障害などの合併症もあらわれました。そこで、わたしとはADAの食事療法をいったん脇に置きました。そして、炭水化物を制限するよう指導したのです。すると、体重がみるみる落ち、血糖値を上手にコントロールできるようになり、HbA1cの値が低下。高血圧やトリグリセリドなど、糖尿病に関係のある代謝異常がすべて改善したのです」
2.投薬療法の問題点
糖尿病初期に処方される経口薬には次のようなものがある。
糖尿病薬の種類 | 作用 | 副作用 |
---|---|---|
スルホニル尿素(SU)薬系 | インスリンの分泌をうながす。40年以上前から使われている、糖尿病の代表的な治療薬。効力が強く、単独で使われるケースが多い。第1世代にトルブタミド、効果が強まった第2世代にグリベンクラミド、グリクラジド、第3世代(2000年認可)にグリメピリドがある。 | 低血糖に注意。 |
ビグアナイド薬 | 膵外作用による血糖低下。インスリン作用の補助。SU薬と併用されることが多かったが、最近は肥満のある2型糖尿病患者の第一選択肢になっている。 | 乳酸アシドーシスが有名だが、実際はレアケース。胃腸症状はわりとよくある。 |
αグルコシダーゼ阻害薬 | 糖質が体内に吸収されるのを阻害することで、食後過血糖を改善する。空腹時血糖はまだ高くないが、食後に高血糖となる軽度糖尿病に単独投与されるケースが多い。SU薬やインスリン療法と併用することもある。 | 腹部膨満感や便秘、下痢などの消化器症状が多い。肝障害の報告も。 |
インスリン抵抗性改善薬 | インスリンの働きを増強し、インスリン抵抗性を改善しようとするもの。インスリン抵抗性が強く出ている2型糖尿病に多く用いられる。ピオクリタゾン(商品名、アクトス)など。 | 浮腫、心不全、肝障害(劇症肝炎の恐れあり)が報告されている。 |
即効型インスリン分泌促進役 | インスリン分泌の促進し、食後過血糖の改善をうながす。吸収が早く、効果持続時間も短いので、毎食かならず服用する必要がある。 | 低血糖に注意。 |
このように、糖尿病の治療には現在、さまざまな薬が使われている。
こうした糖尿病薬の効果を大別すると、
- 血糖値をさげる。
- 糖質の吸収をふせぐ。
- インスリンの分泌をうながす。
- インスリンの働きを強める。
ここで、ある疑問が湧く。血糖値を無理矢理さげたり、せっかく摂取した糖質を吸収させないようにするくらいなら、はなから炭水化物など食べなければいいのではなかろうか。
炭水化物は3大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)のなかで唯一、必須栄養素でない。摂らなくたって死なない。生命活動に支障をきたすことはないのだ。
人間が生きていくのに必要なエネルギーの多くは、脂肪を分解してつくるケトン体でまかなわれている。ブドウ糖しか利用できない器官はほんの一握りだ。それにしても、ヒトの体はたんぱく質からブドウ糖を合成できるので、心配いらない。
薬の力を借りて、働き過ぎで弱っているすい臓にさらなるインスリン追加分泌を命じる、というのは酷な話だ。それに、そんなことをすれば、すい臓はさらに弱り、内臓脂肪は増え、インスリン抵抗性が強まっていくことのは明白だ。
インスリンの働きを強める、というのも、同様の理由(内臓脂肪が増え、すい臓の寿命が縮まる)から、矛盾を感じざるをえない。
糖尿病薬には、肝疾患など強い副作用を持つものがあることにも注意が必要だ。
こうしたリスクをとり、年間9万円というけっして安くない治療費(2種類の薬を服用したいる場合の平均自己負担額)を支払い、肉や酒を節制したカロリー制限を実践し、毎日欠かさず運動をおこなう。それでも、改善する見込みは……。
どこか変だゾ、と感じるのはわたしだけだろうか。
3.インスリン療法の問題点
2型糖尿病がインスリン療法(インスリン注射)のステージへ突入すると、もう矛盾がどうなどとはいっていられないレベルだ。へたを打つと、命を落とす。
1日に1~2回、あるいは3~4回、食事の30分前にはかならず自分でインスリン注射をおこない、血糖を厳しくコントロールする日々がやってくる。病院では、低血糖症状(指先のふるえ、動悸、集中力低下、視界異常など)への対策として、砂糖や飴玉、ビスケット、ソフトドリンクなどを持ち歩くよう指導される。
QOL(生活の質)に大きな支障をきたしはじめるのもこのころからだ。
おまけに治療費は、年間の自己負担額が13万円を超える。
炭水化物(糖質)を食べ、わざわざ血糖値をあげておきながら、これを注射で抑えこみ、低血糖症状があらわれたら、また甘いものを口に放りこむ。この間も内臓脂肪の蓄積は進み、体内のあちこちで炎症が発生し、数々の生活習慣病を招きいれる。合併症への不安はつのるばかりだ。
糖尿病患者の血糖値はインスリンや薬を使っても空腹時血糖値126mg/dl(正常値は90以下)。食後は400mg/dlまで跳ねあがることもある。こうした高血糖状態が長引ければ長引くほど、合併症の発症率が高まっていく。
ほかの生き物が口をきけたら、なんと言うことだろう。
糖尿病に必要なのは、カロリー制限(脂質制限)でなく糖質制限
肉の脂は肥満のもとだから残す、身体に悪いから食べない、という人は少なくない。うちの妻や両親もそういうことを平気でいう。
脂質を摂りすぎると、コレステロールが増え、血液がどろどろになるため、脳卒中や心筋梗塞、がんのリスクがあがる、という話もよく耳にする。
ある種の脂質には、血液をどろどろにしたり、動脈硬化を引き起こしたりする作用がたしかにある。オメガ6系脂肪酸(リノール酸など)というグループに分類される植物油である。サラダ油やパーム油、ごま油などに多く含まれており、摂りすぎには注意が必要だ。
また、リノール酸に水素を添加してつくられるトランス脂肪酸は、絶対に摂ってはならない脂質。確実に身体を害する。トランス脂肪酸には、マーガリンやショートニング、ファットスプレッドなどがある。毎朝の食卓の常連組である。なお、みんなが忌避する動物性脂肪については、じつはなにも問題がないと最近の研究でわかっている。
わが国ではいまだ脂質悪玉説が幅を利かせている。糖尿病や肥満、循環器系の病気を引き起こしているのも脂質というわけである。
その論拠は、1gあたり約9kcalと高いエネルギー量である。たんぱく質や炭水化物はこれが4kcalだから、脂質はほかの栄養素より内臓脂肪の蓄積を引き起こしやすい、という理屈である。現在の糖尿病の治療ガイドラインが、カロリー制限(脂質制限)を採用しているのも、そのためである。
しかし、高カロリーだから太る、という理屈はまちがいだ。摂取エネルギーのすべてが内臓脂肪になる、というのはとんだ思い違いである。「脂質を食べたら、体の中でも当然、体脂肪になって蓄えられるだろう」――こうした漠然としたイメージを抱いている人は少なくないと思うが(医師や栄養士でさえそうだ)、体脂肪の主な材料はブドウ糖だ。
最新の研究で、口から入った脂質の80%以上は体脂肪として蓄積されずに肛門から排泄されるか、細胞膜やステロイドホルモンの原料になることがわかっている。
2割程度は体脂肪になるが、体に害をなす内臓脂肪ではなく、皮下脂肪になる。しかしそれ以前に、炭水化物と脂質では1日あたりの摂取量がまるでちがう。茶碗1杯のご飯に含まれる糖質は60g程度。動物脂や植物油を1度に60gも摂ることは生理的に不可能だ。
脂質悪玉説のあやまりはすでに科学的に証明されているのである。
それを裏付ける研究はほかにもある。
たとえば、ハーバード大学が女性看護師8万2802人に対し、20年間にわたって実施した追跡調査がそうだ。この研究によれば、
- 炭水化物が少なく、たんぱく質と脂質が多い食事の冠動脈性心疾患の相対リスクは0.94。
- 炭水化物が少なく、動物性たんぱく質と動物性脂肪が多い食事の同相対リスクは0.94。
- 炭水化物が少なく、植物性たんぱく質と植物性脂肪が多い食事の同相対リスクは0.7。
つまり、脂質を増やしても、冠動脈性心疾患(心筋梗塞が代表的)のリスクは上昇しない。それどころか、多少なりとも低下する可能性があるというわけだ。
事実、最近では脂質をたくさん食べる人のほうが脂質を制限している人よりずっと長生きする、脳卒中死亡率がぐんと減る、という報告もある。
さらに、『JAMA』(世界でもっとも広範に読まれている医学雑誌)でも、米国でおこなわれた大規模な介入試験で「厳しい脂質制限をおこなっても心血管疾患やがんなどの発症リスクがさがらなかった」ことが発表されるなど、脂肪悪玉説を否定する報告は枚挙にいとまがない。
糖質を制限すれば、糖尿病など治る
それなのに、いまだにこう口をそろえる人が少なくないのはどういうわけだろうか。
多くの医師や栄養士がきょうも脂質を控えるよう、患者を指導、説得している。さきほどの研究報告はアメリカでの話。日本人とはまったく無関係だとでもいうのだろうか。
そんなはずはない。
というわけで、ニッポンで調査されたデータをかき集めて、脂肪悪玉説をバッサリ斬ってみたいと思う。
まずはこのグラフをみていただきたい。日本の糖尿病患者数と脂肪摂取量などの推移をあらわしている。子どもでもわかるグラフを描いてみた。
これを見れば一目瞭然だろう。日本の糖尿病患者数は、戦後35倍に増えたといわれており(1950年には25万人程度だった)、1965年ごろから急増しているが、脂肪摂取量はそのあたりから横ばいに転じている。両者のあいだに相関関係がないことははっきりみてとれる。
脂質を食べると脳卒中死亡率が減る、とする説があるが、このグラフを見ると納得である。日本の脳卒中死亡率は1965年がピーク。その後は減少傾向に転じ、1980年に1/2に、1985年に1/3になっている。脂質を食べるようになって、日本人の脳卒中死亡率は有意にさがっているのだ。
では、肝心の糖質(炭水化物)との関係はどうか。
グラフを見ると、日本人の炭水化物の摂取量は戦後、ゆるやかな減少傾向にある。一見すると、こちらも糖尿病の主要因にはみえない。第一、炭水化物の食べすぎが原因なのだとしたら、終戦直後がもっとも発症数が高くなるはずである。
しかし、その理由は容易に察しがつく。
まず、昔と今では日本人の運動量がまるきり異なる。なにしろ、1950年代にマイカーを保有している家庭などはほとんどなかった。荷物の運搬はリヤカーか人力だった。つまり、当時は摂取カロリーのほとんどを、肉体労働によってしっかりと燃やしていたのだ。
ものは試しとばかりに、このグラフにわが国の自動車保有数の推移をあらわした線グラフ(自動車協会のホームページにあった)を重ねてみたら、糖尿病患者数とぴたりと重なった。糖尿病患者の増加と運動不足とのあいだに因果関係があることはもはや明白である。
そこへ糖質が深く関わっていることも疑う余地はない。戦後、一次産業従事者が減り、ホワイトカラーが増えるにともなって、日本人の体内ではエネルギー(糖質)がだぶつき、内臓脂肪が増えていったのだ。これが、糖尿病など生活習慣病の温床となったわけだ。
精製された炭水化物を口にするようになったことも無視できない。なにしろ、精製炭水化物は未精製の炭水化物よりずっと急激に血糖値を引きあげる。身体へのインパクトがデカイ。糖質が病気をつくるのだ。
糖質が病気をつくる
精製炭水化物が血糖へ与えるインパクトの大きさについては、当サイトの食品一覧表にある各食品のGI値(血糖への影響度をあらわす指数)を参照してほしい。
こうしたことにくわえて、当ブログで再三説明している改良型小麦の影響も無視できないだろう。品種改良によって異常な血糖値上昇作用を持った新生小麦が世界中に広まっていったタイミングと、わが国の糖尿病人口の増加期間はほぼ一致している。さらに、小麦の消費量そのものも増えている。
小麦のGI値と血糖上昇は、砂糖よりすごい
強烈な中毒性を小麦が持つのも問題を大きくしている。
ここまで読んだ人は、炭水化物(糖質)をやめれば――糖質制限で糖尿病が治る、というこの記事の表題の意味がおわかりいただけたことだろう。
糖質制限食(糖質制限ダイエット)のやり方
参考文献/『The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』Vol.355(2006年11月9日号)掲載の論文「Low-Carbohydrate-Diet Score and the Risk of Coronary Heart Disease in Women」、江部康二 2011『主食をやめると健康になる』:31,ダイヤモンド社.