体脂肪の主原料は糖質だ。だから、ぜい肉を減らしたいなら、糖質制限で糖質摂取をひかえるのがもっとも効率的。そうすれば、体脂肪の材料が減るうえ、体脂肪をつくりだすホルモン「インスリン」の分泌も減るから、まさしく一石二鳥。脂肪は確実に蓄積されにくくなる。
カロリー制限ダイエットの場合、摂取カロリーは減らせるものの、ぜい肉の材料である糖質はそれなりに摂取することになる。糖質を摂るとインスリンも分泌されるので、食欲との戦いなどで日々忍耐を強いるわりに効果薄なのだ。
ポイントは、
- 体脂肪は糖質(炭水化物)からできる。
- たんぱく質はほとんど体脂肪に変わらない。
- 脂質は体脂肪に変わるが、糖質のように大量に食べることはないし、摂取量の2割ほどしか吸収されないから、肥満の原因にはならない。
冒頭のイラストをパッと見た感じだと、おじさんのほうが痩せなさそうだが、実際にはおばさんのほうが痩せない。そればかりか、おばさんは栄養が足りず、病気になりやすい体になる。
覚えておきたいのは、カロリー制限が象徴する「ヘルシーな食生活」は、栄養学的にはじつは方向ちがいということだ。肉や脂肪をひかえ、穀類や野菜を積極的に食べると健康になるなどという説には、なんの根拠もない。
カロリー制限でなく、糖質制限で、エネルギー消費と代謝は向上
「脂質-脂肪酸システム」を上手に使えるようになるのも、糖質制限ダイエットの大きなメリット。これによって、体脂肪がどんどん燃やされ、エネルギーに変わっていく。
体脂肪からエネルギーをつくりだすエネルギー代謝システム。人間のメインエンジンだ。炭水化物ばかり食べていると、体が「糖質-ブドウ糖システム」ばかり使うようになり「脂質-脂肪酸システム」がうまく使えなくなってしまう。このあたりは「糖質制限の危険性」の記事に書いた。
利点はまだある。
糖質を減らすことで、毎日の献立が自然と高たんぱくで高脂質になるという寸法。だから、代謝がよくなるのだ。
というのも、たんぱく質を代謝するには、大量のエネルギーが必要となるからだ。たんぱく質から摂取したエネルギーの3割ほどは、代謝するだけで消費される(糖質や脂質の代謝に必要なカロリーは1割以下)。
つまり、たんぱく質を食べるだけで、かなりのカロリーを減らせるというわけ。
しかも、糖質制限食によって、体外からのブドウ糖補給が途絶えると、肝臓がたんぱく質からブドウ糖をつくりはじめることがわかっている。これを「糖新生」という。糖新生をおこなうのにも相当量のエネルギーが必要で、さらに脂肪が燃えていくのである。
こうした幾多のメリットは、糖質制限ダイエットならでは。カロリー制限ダイエットにはない。
カロリー制限では、体脂肪はなかなか燃えない。糖新生という、人間がもともと備えている優秀なシステムが日の目を見ることもない。
どっちを選択すべきかは、火を見るより明らかだろう。
糖質制限なら1週間で1~5キロ落ちる
実際、糖質制限食ダイエットなら、個人差はあるものの、1週間で1~5キロも体重が落ちるといわれている。
糖質制限をスタートするにあたって大切なのは、さまざまな食べ物に含まれている糖質の量を知ることだ。糖質を多く含むのは、白米やパン、ラーメン、うどん、蕎麦といった穀類。いわゆる主食だ。それから、芋類や豆類、ソフトドリンクやお菓子、軽食類など。
くわしくはこの食品一覧表を参照してほしい。
食品一覧表の見方糖質制限ダイエットは、1食当たりの糖質摂取量を40g以下に抑えることを推奨している。ごはん茶碗1杯55g、ホットケーキ2枚80g、ラーメン1玉70g、カレーライス1人前124g、大福1個50gの糖質が含まれているから、こうした食品は避けなければならないということだ。
半面、肉や魚介類は糖質をほとんど含んでおらず、安心して食べられる。ナッツ類や野菜も食べ過ぎなければOKだ。
糖質制限食の具体的な始め方については、この記事を参照していただきたい。