8~9割近くの人が成功する糖質制限ダイエットだが、これは裏を返せば、10人に1人か2人は脱落者になる可能性があるということ。あなたがそこに入らない保証はない。
そうなったときのための秘策をお伝えしておこう。
精神論ではない。糖質制限食はカロリー制限とちがって、食欲と争う必要はない。空腹に耐える必要のない糖質制限食で挫折するというなら、もうなにをやってもムダである。
糖質制限食は、カロリー制限やマクロビオティック、玄米菜食、ゲルソン療法、西田式甲田療法といったほかの食事療法とちがい、食べられる食品の幅が広い。選択肢が多い。しかも、満腹感と満足感を得られる。
この点、非常に継続が楽だ。
きちんと糖質制限を行なっても効果がなかった、痩せなかった、という場合は、この記事のいちばん下の部分を読んでほしい。
糖質制限はほかの食事療法と比べて失敗しにくい
さまざまな食事療法 | 内容 |
---|---|
マクロビオティック | 太平洋戦争前後に桜沢如一(食文化研究家)が編みだした食事療法。未精製炭水化物――玄米、雑穀、小麦全粒粉などを主食に据え、自然農法の農作物や海藻をおかずにする。肉や魚、乳製品は食べない。鰹だしや煮干しすら使わない。砂糖も使用しない。お酒もダメ。 |
玄米菜食 | マクロビオティックに使いが、動物性たんぱく質は魚のみOKとする食事療法。禁酒。 |
ゲルソン療法 | ドイツ生まれの食事療法。医学は博士のマックス・ゲルソンが考案。がん、高血圧、肝臓病、血栓症、腎臓病、痛風などがよくなるということで、欧米ではかなりポピュラーだ。特徴は、塩を使わず、脂質と動物性たんぱく質を制限し、主食を全粒粉小麦のパンにするというもの。1日約5kgという大量の野菜を使い、生野菜ジュースを飲むのもゲルソン療法ならではだ。カフェインNGで、コーヒーも飲んではいけないが、コーヒー浣腸という奇妙なデトックス術を取り入れているのは無視できない。禁酒。 |
西田式甲田療法 | 食べていいのは、玄米クリーム(玄米粉を水で溶いたもの)と、「生菜食」(生野菜を食べる)、「青どろ」(青野菜のスムージー)という、厳しすぎる食事療法。しかも1日2食で、たまに1日断食もおこなう。イマドキの坊さんでもこんな生活はしていないだろう。アルコールは禁止。 |
以上のような食事療法は食いしん坊や酒飲みにはヒジョーにツラい。ツラいだけならまだいいが、普通の人づきあいができなくなるのがマズい。だれかと普通の飲食店で気軽に食事したり、酒を飲みに行ったりできなくなるからだ。
このため、社会との距離がどうしても広がってしまう。人間関係が希薄になる。こうした点でも、糖質制限はすぐれているといえよう。
ただし、外食の際には次のような点に気配りが必要だ。
糖質制限に失敗せず続けていくコツ
1.和食に気をつけろ
ヘルシー、というイメージの非常に強い和食であるが、フレンチやイタリアンにくらべ、じつは糖分の多い料理が多い。ちっともヘルシーではない。
まず、醤油や味噌、みりん、日本酒といった調味料には糖質が想像以上に含まれている。まあ、これは摂りすぎなければ大丈夫だと思うが、和食の代表である煮物や煮魚には要注意。砂糖がたくさん使われている。料理をする人ならおわかりだろう。
同様に、てんぷらも赤信号。衣が小麦粉だし、天つゆも砂糖たっぷりだ。あと、照り焼き料理もNGだ。やはり砂糖たっぷりだ。
そもそも、白米や蕎麦、うどんが糖質制限食の鬼門。寿司など、いわずもがなである。和食、のジャンルに入れるべきかどうか迷うが、お好み焼き屋やもんじゃ焼き屋ののれんをくぐるのもやめている。メニューはまさに小麦粉祭り。なにも食べるものがない。
和食が食べたいとき、わたしは居酒屋へ行くようにしている。刺身や焼き魚、焼き鳥の塩や冷や奴、枝豆を肴に焼酎を飲む、ということならなにも問題ないからだ。
鍋もいい。しゃぶしゃぶや寄せ鍋、水炊きのうまい店を鋭意、開拓中である。
2.フレンチ、イタリアン、地中海料理が狙い目
存外に食べられるものが多いのが、フレンチやイタリアンといった欧州料理だ。あちらの国々では基本、料理に砂糖を使う習慣がない。オードブルや肉料理、魚料理でぞんぶんに舌鼓を打てる。
ただし、甘ったるいデザートは別。コース料理でも、わたしはデザートはチーズにしてもらい、コーヒーといっしょに楽しむようにしている。「甘いものが嫌いだ」といえば、嫌な顔をされることもない。
パンはもちろん食べない。同様に、パスタやピザも頼まない。ただし、イタリアンでピザやパスタを食べない、というのも心の座りが悪いというか妙な具合なので、わたしはあまり行かない。
3.町の洋食屋からは逃げるが勝ち
フレンチやイタリアンが大丈夫なら、洋食屋も行けそうに思えるが、こっちは食べられるものがほとんどない。
魚や牡蠣のフライ、とんかつ、コロッケ、メンチカツ、ハンバーグ、パイ料理、グラタンなどは、衣やつなぎに小麦粉がたっぷり使われてるし、ソースも砂糖たっぷり。定食にはごはんやパンがつきものだし、カレーやシチュー、スパゲティは炭水化物のかたまりだ。
糖質制限開始後、最初に入った洋食屋で、わたしは静かにメニューを閉じ、水を運んできてくれた店員に謝って、そのまま外へ出た。以来、洋食屋には足を踏み入れていない。
4.焼き肉屋はパラダイス
焼き肉屋は糖質制限人のパラダイス。肉と野菜を思いきり堪むさぼり食っている。ごはんとビールを頼みたくなることもあるが、そこはぐっと我慢。酒は、ウーロンハイやハイボールならOKだ。
つけだれには注意が必要。甘だけには砂糖がたっぷり入っている。甘すぎないたれを少しつけて食べるか、塩こしょうがベストだ。同じ理由から、味つけ肉は避けている。もみだれに砂糖がたっぷり含まれているからだ。
5.中華料理屋とラーメン屋は視界に入れない
ラーメン、チャーハン、天津飯、焼きそば、ビーフンを筆頭に炭水化物料理しかない。唐揚げや餃子、焼売、春巻きなど、定番の主菜も小麦粉でできている。あんかけ系のとろみも片栗粉だからダメだ。
とにかく、中華料理はほとんどの料理で、砂糖をたっぷりと使う。ピータンくらいしか食べるものがない。
6.ローカーボ食品をフル活用する
糖質制限(ローカーボ)の食品も、最近は簡単に手に入るようになった。涙ぐましい企業努力か商魂たくましい食品メーカーの手によって、ローカーボ食品の幅は広がり、質も高まってきている。
糖質オフや糖質カットのご飯(大豆米)や麺類、パン(ハンバーガーも食べられる!)、さらにシュークリームやケーキ、クッキーなど、もう何でもありなンである。
そういうものがどうしても食べたくなっても困ることはない。わたしが活用している糖質制限(ローカーボ)食品の通販専門店はこちらにまとめている。
糖質制限(ローカーボ)通販専門ショップ10選糖質制限で痩せない、効果が出ないケース
糖質制限食をしっかりやっているのに体重が落ちない、あるいは体調がよくならないというなら、基礎代謝が普通の人よりぐっと低い可能性が高い。
たとえば日本人の女性の基礎代謝は1日1200kcalだ。ところが、人によっては700kcalしかなかったり、2000kcalもあったりする。個人差が大きい。
基礎代謝が高い人は基本的に痩せ形が多く、ダイエットなど無用の長物だろう。問題は基礎代謝が極端に低いケース。こうしたケースでは、女性なら1日1000kcal、男性なら1400kcal程度のカロリー制限を組み合わせると効果が得やすいだろう。
糖質制限食(糖質制限ダイエット)のやり方