お隣の国、韓国では秋になると、白菜てんこ盛りのリヤカーを引いたおじさんが町を練り歩き、「白菜(ペクチュ)!」「白菜(ペクチュ)!」という大声が響きわたるのだとか。
「キムチを12種類以上つくれない女は、いい嫁さんになれない」なんてコトワザもあるそうだ。それだけキムチづくりは女性には大切な仕事なのである。
そんなキムチの向こうを張る発酵食品が、わが国が誇るぬか漬けや、ヨーロッパのヨーグルト、そしてドイツのザワークラウト。
そのレシピをくわしく解説。発酵食品はヒトの免疫システムの急所たる腸内環境を強力に整えてくれる。ぜひとも手づくりを。
ザワークラウトとは
ゲルマン民族の伝統的な発酵食品である。乳酸菌で発酵。使用する野菜はキャベツ。肉料理(とくにソーセージ)のつけ合わせとして有名な食べ物だ。
整腸作用が強いのが特徴で、食べると善玉菌が増える。また、ザワークラウト特有の酸味は乳酸菌が出す「乳酸」という酸で、これは悪玉菌を殺す。このため便通改善効果も非常に高く、弱った腸を癒やすのにとても役立つのである。
材料はこんな感じ。
- 漬け物容器
- キャベツ 1玉(約1kg)
- 塩 20g
- 唐辛子 2本
- 黒こしょう 適量
- キャラウエイシード 小さじ1杯
- ローリエの葉 2枚
キャラウェイシードとローリエはなくてもOKだ。わたしも最初は使わずに漬けていた。ただ、ぬか漬けのような味になるので、いまは入れている。風味がぐっとよくなった。
水を入れるレシピもあるが、必要ない。キャベツからでる水分で十分だからだ。だいいち水道水の塩素は乳酸菌を滅菌する。もってのほかだ。
ザワークラウトのレシピ(作り方)
さっそく仕込んでいこう。
①キャベツの外葉をとり、さっと洗う。洗いすぎはNGだ。ビタミンが流れてしまう。それから千切りに。わたしはキャベツスライサーを使う。
②ボールに千切りキャベツを入れて、塩20gを加える。
③よく塩もみしていきます。水分を全部、滲出させる感じ。5分くらいもんでいると、かなり水気が抜けます。ボールは大きめが便利。
④キャベツを漬け物容器へ移す。水分も捨てずにそのまま容器へ。栄養分や乳酸菌がたっぷりだ。容器は、「角型漬物器2.0L」が重宝だ。サイズぴったりで、上部のハンドルをまわせばプレスができるしくみ。重石がいらない。
⑤香辛料を準備。唐辛子と黒胡椒、それと「ローリエの葉」と「キャラウェイシード」。
⑥唐辛子2本とローリエの葉2枚は半分にちぎって入れる。キャラウェイシードは、小さじ1杯分。黒こしょうは適当にふりかける。
⑦蓋をして、上部のハンドルをまわし、キャベツをプレス。重石代わりだ。キャベツが空気に触れないように。そうでないと、ほかの菌が繁殖する可能性がある。
⑧3日もすれば、キャベツの色が変わってくる。ハンドルをちょっと回し、さらに圧をかける。味見してもOK。発酵が進んでいるなら、酸味が出てきているはず。
⑨夏場は1週間くらい、冬場は2週間くらいで、できあがる。密封瓶に移して、冷蔵庫で保存しようさらに熟成が進む。もちろん、もう食べられる。
⑩1リットルの密封ガラス瓶。ぴったり収まるサイズ。キャベツが大きかったりして入りきらないときは、あまったぶんを食卓へ。
⑪汁も冷蔵保存。乳酸菌や栄養がたっぷりだ。捨てるのは惜しい。ドイツでは、ザワークラウトジュースとして売られている。わが家は、ドレッシングボトルを使っている。写真左は、「ボルミオリ・ロッコ」 (1L)。見た目がおしゃれなので、気に入った。
まずは市販品を試して、ザワークラウトの味を知る
手作りする前に1度、市販のものを食べてみるとよいだろう。本場のザワークラウトの味と酸味を覚えるのだ。
ただし、市販品は熱殺菌されている。生きた菌はいない。ビタミンCも壊れています。死菌でも整腸作用はあるし、乳酸が悪玉菌を撃退してくれるが、健康効果を求めて毎日の食事に取り入れるなら、やはり手づくりが望ましい。
これは、「キューネ ザワークラウト」。安くてうまい。手づくりする前、こればかり食べていた。
なかなかこの味と酸味のものをつくることはできない。ドイツのキャベツにいる乳酸菌と、日本のそれでは、種類が違うのかもしれない。