カゼイ菌の効果〜抗炎症、抗酸化、免疫力向上、抗ストレス、抗アレルギー、抗菌、抗肥満ほか

ヒトの体内に棲みつき共に暮らす微生物たちが、宿主であるわれわれの健康維持および増進にどれほど貢献してくれていることか。

それを知るたびにわたしは「ひょっとしたら人間の健康状態のほぼ100%が、彼等によって決まっているのではないか」と敬虔(けいけん)な気持ちになってしまう。

彼等は無口な裏方職人だ。来る日も来る日も腸内で黙々と、宿主(わたしやあなた)が気の向くまま好きほうだいに食べたものを分解、無毒化し、食べ物にまぎれて侵入する外敵を蹴散らしてくれている。日のあたらない場所で一生懸命働くことのみによって、自分たちの存在意義をアピールしつづけているわけだ。

わたしたちはそろそろ彼等に感謝し、きちんと向きあうべきであろう。それは自分自身のためでもある。

ビフィズス菌アシドフィルス菌ガセリ菌ラムノサス菌LGG乳酸菌)など、プロバイオティクス(有用微生物)もいろいろだが、今回はラクトバチルス・カゼイ菌(以下、カゼイ菌)に着目してみよう。

人間やその他の動物の体内、あるいは発酵食品(チーズ、漬け物、ワイン)などに棲息するグラム陽性の乳酸菌である。

カゼイ菌の健康機能はほかの乳酸菌同様、驚くべきものである。

カゼイ菌の健康効果

これまでの研究で解明されている、カゼイ菌の健康機能は次のようなものだ。

  • 免疫力向上
  • 腸内細菌バランス改善
  • 抗酸化作用
  • 抗炎症作用
  • 抗ストレス作用
  • 抗アレルギー作用
  • 抗菌・抗ウイルス・抗真菌作用
  • 抗肥満作用

そして次のような疾患や不調の改善役立つ可能性がある。

  • 胃炎、腸炎、IBD(炎症性腸疾患)
  • 便秘、下痢
  • カンジダ症
  • 寄生虫感染
  • 心疾患系の疾患
  • 糖尿病
  • 皮膚炎
  • アレルギー
  • 虫歯
  • ガン

1.体内の炎症を鎮静化する

カゼイ菌は、抗炎症剤として利用することができる。いくつかのマウスの実験で、カゼイ菌の投与は炎症反応を鎮静化させることがわかっている。

ヒト(高齢者)に対する試験でも、抗炎症性を持つことが示されている。

カゼイ菌は、クローン病患者の腸粘膜の炎症を有意に抑制することも実験でわかっている。

関節炎

カゼイ菌のサプリメントは、関節リウマチに苦しむ女性の症状をやわらげるという。

動物実験でも、自己免疫性の関節炎からマウスを保護し、サルモネラ菌による腸や関節の炎症をも打ち消したという。

さらにラットの慢性の関節リウマチなどの症状を効率的に軽減させたそうだ。

皮膚炎

カゼイ菌は、アトピー性皮膚炎の症状をやわらげる。ただしその効果は現状、動物実験でしか確認されていない。ヒトが対象の臨床試験が待たれる。

歯周炎

カゼイ菌を経口摂取することで、歯肉炎患者(歯周炎患者)の口腔内の細菌数を減らすことができたそうだ。

大腸炎、IBD(炎症性腸疾患)

マウスやラットの実験では、カゼイ菌はセリアック病などによる腸の炎症を癒やし、大腸炎に対して高い効果を発揮したという。さらにIBDの症状(腸の炎症)もやわらげた。

2.免疫力を高める

カゼイ菌には、免疫力を高める効果がある。ナチュラルキラー細胞(NK細胞)やマクロファージなどを活性化させることがわかっている。

3.感染症と闘う

免疫力が高まれば、当然ながらさまざまな感染から身を守ることができるだろう。事実、多くの研究が、カゼイ菌が胃腸や呼吸の感染症を改善することを示している。

研究では、子どもの一般的な感染の発生率をさげること、高齢者の呼吸器感染の罹患期間を短縮することなども示されている。

また、健康な中年会社員を対象にした臨床試験では、上気道感染症の発生率および罹患期間を低下、短縮させた。

シフト勤務(昼勤と夜勤が一定周期で切り替わるような交代制勤務)に従事する労働者は一般にストレスが多く、感染症にかかりやすいとされるが、カゼイ菌を摂取することで消化器や呼吸器の感染症の発生率を低下することができたという。

これらは、白血球や好中球、NK細胞の総数と活性を増加、強化させることによる効果だと考えられている。

ウイルス感染や寄生虫感染にも有効である。

高齢者がカゼイ菌を継続的に摂取すると、腸内細菌バランスが改善、ウイルス性の胃腸炎の症状が軽くなったそうだ。マウスの実験でもカゼイ菌を持続的に摂取することで寄生虫が消化管に居着くのを防いだという。

カンジダ症対策として使える可能性もある。

マウスの実験では、餌にカゼイ菌をくわえることで、カンジダへの防御力が高まることがわかった。興味深いのは、カゼイ菌は生菌でなくても——つまり死菌であっても、効果があったという点である。

4.アレルギーを抑制する

花粉症患者に対する試験において、カゼイ菌のプロバイオティクス摂取は、症状を軽くする可能性があることが確認されている。

動物実験では、アナフィラキシーショック(急性アレルギー反応)からマウスを保護したそうだ。

5.消化管の健康状態を改善する(腸内環境改善)

カゼイ菌の摂取は、有害細菌を抑制し、腸内細菌叢の多様性とバランスを改善する。

継続的に摂取することで、便秘や下痢の症状がよくなるし、排便のリズムが整う。さらに腸のぜん動運動のリズムもよくなる。

カゼイ菌はさらにピロリ菌とも闘えるようだ。

6.ストレスを解消する

医学生を対象にした臨床試験で、カゼイ菌は試験前のストレス症状をぐっと軽減させた。その効果は自覚的なものにとどまらず、生理学的にも証明されている。コルチゾールやセロトニンなどのホルモンの分泌に影響を与えたという。

この臨床試験ではさらに、学生らの腹部トラブルや風邪などの発生率をさげたり、症状が収まるまでの期間を短縮したりしたそうだ。

7.抗酸化作用

カゼイ菌とイヌリン(プレバイオティクス)をセットで摂取することで、ヒトの血液の抗酸化活性にプラスの影響があらわれた。

ラットの実験では、アフラトキシン(カビ毒の一種)による酸化ストレスを低減させ、肝機能が有意に改善したという。

8.ガンと戦う

カゼイ菌には抗腫瘍作用がある。そのメカニズムは、マクロファージを活性化させることで宿主の免疫力を高め、ガン細胞のアポトーシスを促進するというものらしい。

これまでわかっている、カゼイ菌が抑制する(可能性のある)ガンには次のようなものがある。

カゼイ菌が有効なガン
白血病、胃ガン、肝臓ガン、結腸ガン、直腸ガン、乳ガン、膀胱ガン

9.肥満、糖尿病、心血管系の疾患に対抗する

カゼイ菌にはインスリン感受性を改善する働きがあり、コレステロール値や心血管系疾患の罹患率をさげることがわかっている。

ラットに高脂肪食を与えても、カゼイ菌を食べさせることで体重が減少。過食が原因の肥満のマウスにおいて、インスリン抵抗性が改善したという。

こうしたことから糖尿病の症状をやわらげるのに役立つ可能性も指摘されている。

現状ではヒト試験は見あたらないが、ラットやマウスの実験は存在する。それらによると、カゼイ菌は糖尿病および合併症のリスクをさげ、2型糖尿病の症状を優位に改善したそうだ。

10.肝臓を守る

カゼイ菌には、アルコールによる肝機能の低下をやわらげる作用がある。

ついでながら、カゼイ菌を補給することで、アフラトキシン(カビ毒)の血中濃度をさげ、身体への悪影響を軽減する効果もある。

カゼイ菌のプロバイオティクス摂取の注意点

基本的に安全性は担保されている。ただし重篤な腸の機能障害、腸管バリア機能の低下、あるいは免疫不全や臓器不全の場合は、摂取すべきではない。感染症のリスクがある。

同様に免疫システムや内臓に重篤なトラブルを抱えている場合も、摂取は見送るべきだろう。

参考 カゼイ菌のプロバイオティクスFOODHACK

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