生活習慣病のほとんどが薬なしの食事療法のみで改善あるいは完治する、そんな夢の治療法が、糖質制限だ。
糖質制限はもともと糖尿病の治療目的に考案された新機軸の食事療法。その特徴は、血糖値を急上昇させる糖質(炭水化物)をとにかく口にしない、たったこれだけ。
ポイントは、
- 肉や魚などのたんぱく質や脂は血糖値になんの影響も与えないから食べてOK。
- 血糖値を上昇させるごはんやパン、麺類、芋類、果物などの炭水化物はNG。
こんなふうにシンプルきわまりないこの方法で、糖尿病の悪化要因である、
身体に大きなダメージを与えるこの4つの現象が起こらなくなる。
実際、糖質制限食によって血糖が安定することで、糖尿病が劇的に改善するケースは枚挙にいとまがない。現在の糖尿病治療の主役はカロリー制限だが、目に見えた効果があがっておらず、糖質制限が今後、糖尿病治療のブレイクスルーになることはまちがいない。
糖尿病以外のさまざまな生活習慣病の改善、完治が見込める点も、糖質制限の大きな魅力だ。
糖質制限には驚くべき効果がある
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それにしても、化学療法も薬物療法もなしに病気がどうして治ってしまうのだろうか。これは、現代の生活習慣病の多くが、われわれが精製された炭水化物を食べていることと深い関わりがあるからだ。
精製炭水化物は、血糖値を異常に上昇させる。そのために起こるインスリンの過剰な分泌や、内臓脂肪の蓄積などが万病のもとになっているというのである。
糖質が病気をつくる
糖質は病気の原材料なのだ。
糖質制限は気軽に始められるのが魅力
わが国における糖質制限のオピニオンリーダーといえば、まっ先に名前が挙がるのが江部康二医師。
江部先生率いる高雄病院(京都市右京区)は1999年から糖尿病治療に糖質制限食を導入し、高い実績をあげていることで有名だ。
江部先生自身もメタボ&糖尿病だったため、2002年から糖質制限食を実践。みごと健康を取り戻したそうだ。つまり、糖質制限食の有効性を、身をもって証明したわけだ。これが、患者たちの信頼を獲得している。
「コペ転」なしとげた江部康二医師に敬礼
そうはいっても、日本ではまだまだ新参者の療法だ。わが国における食事療法の主流は現状、読者諸兄もよくご存知のカロリー制限である。
海外では、カロリーでなく、炭水化物をひかえることの意義はすでによく知られている。アメリカやイギリスの糖尿病学会では、糖質制限食が食事両方のひとつとして正式に認められている。
カロリー制限の特徴は、
- 体重、身長、年齢から、1日に摂取できるカロリー値を決める。
- 食べ物の摂取比率を、糖質60%、脂質20%、たんぱく質20%にする。
わたしも一時期とりくんだことがあるが、カロリー制限は、毎食のカロリー計算が不可欠。これがじつに面倒くさい。しかも、腹がすく。とにかくひもじい。途中で何度も投げだしたくなるのである。
ちなみに糖質60%というこの比率、江部先生にかかれば、人類のエネルギー代謝システムを無視した「最悪の比率」ということらしい。
他方、糖質制限食は、糖質の量をカウントするだけでOK。海外では「カーボハイドレート・カウンティング」と呼ばれており、こまかいカロリー計算が不要。「これを食べたら、摂取上限値を超えるからダメか。なら、これは? あ、ダメか。いったいなにを食えばいい……」などと頭を抱えこむ必要はなく、無駄な時間とストレスが減る。
糖質制限は効果が高いというだけでなく、気軽におこなえるのも大きな魅力なのだ。
糖質制限食(糖質制限ダイエット)のやり方