運動しなきゃ、とは思ってるんだけどね——家でできる運動と、続けるたったひとつのコツ

運動しなきゃ、とは思ってるんだけどね 家でできる運動と、続けるたったひとつのコツ

「運動しなきゃ、とは思ってるんだけどね」

この言葉、何度口にしたことでしょう。あるいは心の中でつぶやいたことでしょう。

運動が身体にいいのは知っている。でも仕事が忙しい。子どものことで手一杯。帰ってきたらへとへと。休みの日くらいゆっくりしたい。気づけば一週間、二週間、一か月——。気がつくと「運動してない期間」だけが静かに積み上がっていく。

わたし自身、まさにそうでした。「知ってるけどやらない」の達人だったと思います。編集者時代は入稿から校了まで徹夜が続き、取材期間に入れば昼間から飛びまわり、夜はお酒を眠剤代わりにぐびっと一気飲みして倒れるように眠る、そんな生活を何年も続けていました。運動? そんな時間も気力もない、そう思っていました。

でも、身体が限界を迎えたとき、昔取材した教授や医師たちの話が走馬灯のようによみがえってきたんです。冗談ではなく。それくらい追い詰められていたから(笑)。

そのとき初めて思い知りました。「運動って、後回しにしていいものじゃなかったんだ」と。

なぜ「知ってるけどやらない」になるのか

人間は不思議なもので、差し迫った問題がないと動けない生き物です。

痛みがなければ病院に行かない。お金が底をつきそうにならないと節約しない。そして——身体が壊れるまで運動しない。

運動不足の悪影響は、じわじわと、静かに、気づかれないように蓄積していきます。ある日突然「やばい」となる。でもそのときにはもう、取り返しのつかないところまで来ていることも少なくない。

忙しい人ほど、限られた時間を「好きなこと」に使いたいと思うのは自然なことです。運動は「やらされるもの」「つらいもの」というイメージがある。だから後回しになる。

でも、これだけは知っておいてほしいのです。

動かない身体に、何が起きているか

筋肉は、30代から年に約1%ずつ減っていきます。意識して動かさなければ、40代・50代にはかなりの量が失われている。筋肉が減ると基礎代謝が落ちる。基礎代謝が落ちると、同じように食べていても太りやすくなる。脂肪がつきやすくなる。血糖値が上がりやすくなる。疲れやすくなる。

さらに近年の研究でわかってきたのは、座りっぱなしの生活そのものが、喫煙に匹敵するリスクを持つということです。1日8時間以上座っている人は、心臓病や糖尿病、がんのリスクが有意に高まるとされています。

身体だけではありません。運動不足はメンタルにも直撃します。セロトニン(幸せホルモン)の分泌が減り、気分が落ちやすくなる。不安を感じやすくなる。睡眠の質も下がる。

はやま

闘病中に手当たり次第に本を読んで、運動不足が身体にこれほど悪影響を与えるのかと初めて真剣に向き合いました。「知ってた」つもりで、全然知らなかった。頭で知ることと、腹で理解することは全然違うんですよね。

逆に言えば、少し動くだけで、これらは変わり始めます。劇的にではなく、静かに、確実に。

続けられる人と続けられない人の、たったひとつの違い

「続けるコツ」を教えてください、とよく聞かれます。

正直に言います。わたしが思うに、続けられる人と続けられない人の違いは、「方法」ではありません。「なぜやるのか」が腹に落ちているかどうか。

わたしが運動を続けられるようになったのは、身体を壊してからです。「動かないとどうなるか」を身をもって知ったから。それが一番の動機になっている。切迫した経験というのは残酷なほど効果的な先生です。

でも、身体を壊す前に気づけるなら、そのほうがずっといい。

だから、まずこう考えてみてください。「健康のために運動する」ではなく、「動ける身体を、未来の自分のために守る」と。10年後、20年後の自分が、子どもや孫と一緒に山に登れるか、自分の足で旅ができるか——それは、今日動くかどうかにかかっています。

はやま

大げさに聞こえるかもしれないけれど、これは本当のことです。わたしは走馬灯を経験してからそれを知った(笑)。できればみなさんには、走馬灯を見る前に知ってほしい。

では、何をすればいいのか

難しく考えなくていいです。まず「続けられること」を最優先に選ぶ。完璧なメニューより、ゆるくても続くほうが圧倒的に価値があります。

わたし自身のルーティンはシンプルです。ジョギングかウォーキング、スクワット、ダンベルを使った筋トレ、ときどきヨガ。これを毎日きっちりやっているわけではありません。できる日にできることをやる、それだけです。

以下、家の中でできる運動と、あると便利な器具をいくつか紹介します。「全部やろう」と思わなくていい。自分の生活に合いそうなものをひとつ選んで、まず2週間だけ試してみてください。

有酸素運動——脂肪を燃やし、心肺機能を高める

血糖や脂肪を燃焼させるには有酸素運動が向いています。外を走る・歩くのが一番シンプルですが、天気や気分に左右されたくない日のために、室内でできる選択肢も持っておくと続けやすい。

フィットネスバイク(エアロバイク)は、雨の日も真夏日も、テレビを観ながら全身運動ができる優れものです。ジョギングと同等の運動強度がありながら、膝への負担が少ない。運動不足で体重が気になる方にはとくにおすすめです。ただし——正直に言うと、わが家のサイクリングマシンはとうの昔にリサイクル業者に引き取ってもらいました(笑)。続けるには「場所をとらないこと」「出し入れが面倒でないこと」も大事な条件です。

ダンスゲームは、楽しみながら有酸素運動ができる方法として意外と侮れません。採点制なのでひとりでも燃えるし、家族と一緒にやるとさらにエキサイティング。勝ち負けで険悪になることもありますが(笑)。

筋トレ——基礎代謝を上げ、太りにくい身体をつくる

有酸素運動が「今ある脂肪を燃やす」ものなら、筋トレは「太りにくい身体をつくる」ものです。筋肉量が増えると基礎代謝が上がる。デスクワーク中も、運転中も、眠っている間も、カロリーを消費し続けてくれる身体になる。

スクワットは、道具不要で下半身の大きな筋肉をまとめて鍛えられる最強の運動のひとつです。以前取材した運動生理学の教授に「下半身はスクワットだけで十分」と言われたことを、今でも覚えています。毎日10〜20回から始めるだけでいい。

ダンベルは、上半身をバランスよく鍛えるのに便利です。腕立て伏せだけでは鍛えにくい筋肉にもアプローチできる。重さは最初は軽めのもので十分。わたしは一時期37kgのダンベルを使っていましたが、あれは完全にやりすぎ。

懸垂マシンは自分の体重を負荷として使える優れた器具ですが——わが家では今やハンガーラックとして大活躍しています(笑)。置く場所と、本当に使い続けられるかを冷静に考えてから購入することをおすすめします。

ヨガ——身体を整え、心を静める

ヨガは有酸素運動でありながら、ポーズによっては筋肉に無酸素運動に近い負荷をかけることもできます。30分もやれば思いのほか発汗する。身体が柔らかくなる。そして何より、リラックス効果が高い。

交感神経を刺激せず、副交感神経を優位にするため、就寝前に行うと睡眠の質が上がります。セロトニンの分泌も促される。わたしが10年以上続けているのは、単純に「気持ちいいから」です。

始めるのにヨガ教室は必要ありません。必要なのはヨガマットだけ。マットは薄め(4mm前後)のほうがバランスをとりやすく、ヨガに向いています。厚いマットはクッション性は抜群ですが、ポーズが安定しない。昼寝にはちょうどいい。

動画サイトにも良質な無料レッスンがたくさんあります。「ヨガ 初心者 10分」で検索するだけで、今夜から始められます。

バランスボール——「ながら運動」の味方

テレビを観るとき、読書するとき、バランスボールに座るだけで腹筋や太ももが自然に鍛えられます。腸の蠕動も活発になるため、便通にもいい。仕事中に使うと姿勢がよくなり、集中力も上がります。

「運動」という構えが不要なぶん、続けやすいのがこの方法の利点。ただ、わが家のバランスボールは箪笥の肥やしと化しているため、偉そうなことは言えません(笑)。

最後に——完璧にやらなくていい

毎日完璧にこなそうとすると、できない日に「もういいや」となります。これが挫折のいちばん多いパターンです。

スクワット10回だけでもいい。5分歩くだけでもいい。何もしないよりずっといい。「ゼロか百か」ではなく、「ゼロよりちょっとだけ多く」を積み重ねることが、結局いちばん遠くまで行けます。

運動は、頑張るためにあるのではなく、毎日を気持ちよく過ごすためにあります。そのくらい軽い気持ちで、まず今夜、スクワットを10回だけやってみてください。

はやま

続けるコツを聞かれると、毎回困ります。「なぜやるかが腹に落ちれば続く」としか言えない。でも、走馬灯を見るまで腹に落ちなかったわたしが言っても説得力がないかな(笑)。それでも、気づいた今日から始めれば、遅すぎることはないと思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です