健康維持または回復のため、人類は6000年以上も粘土(クレイ)を利用してきた。古代メソポタミアでは粘土は薬であったし、オーストラリアの先住民アボリジニは古来、粘土を薬として食べてきた。
粘土はヒトの局所あるいは体内のさまざまな病を治療してきたのだ。
- 古代ギリシアではさまざまな病気を、粘土の内服や外用で治療していた。
- ヨーロッパやアジアでは古来、マッドスパ(泥温泉)や全身泥パックによる自然療法が盛ん。
- アメリカ先住民は、粘土を薬として食べてきた。
- ロシアでは胃潰瘍の治療薬として粘土を利用してきた。
- ロシアのある部族は、つわり対策に粘土を食べていた。
- 中国では粘土を漢方薬として用いてきた。
- インドのマハトマ・ガンジーは、便秘解消薬として粘土を勧めていた。
- マレーシアやニューギニアでは、妊婦が安産のために粘土を食べていた。
- タンザニアでは、若い女性が粘土を食べることは妊娠の兆候として喜ばれた。
- エジプトのクレオパトラは、美容と日焼け対策に粘土パックを活用していた。
- エジプトでは、ミイラの重要な保護剤として粘土を活用していた。
ちなみに米国在住の科学ジャーナリスト、ケイ・ミズモリ氏によれば、粘土あるいは土を食べる習慣は古今東西、世界中で見られるという。[参]
- アメリカ先住民は、疲れた心を癒やすために土を食べる。
- アメリカ南部では、調理済みの土がスーパーで販売されている。
- ベトナムでは、網で土を焼いて客をもてなす習慣がある。
- 南米では、粘土に蜂蜜などを混ぜてデザートとして食べている。
- ラテンアメリカ諸国では、食用粘土の錠剤が現在も売られている。
- ペルーのインディオは、ジャガイモと粘土を一緒に食べていた(毒素中和のため)。
- イタリアではどんぐりのパンを焼く時、粘土を混ぜていた(毒素中和のため)。
- インドでは粘土製のティーカップで茶を飲み、そのあとそのカップをバリバリ食べる。
- インドやアフリカでは、シロアリの巣に行き、シロアリと巣(土)に蜂蜜をかけて食べる。
- フランス料理には、土を煮込んでルッコラの根を添えるレシピがある。
- 世界各地で飢餓をしのぐため、粘土が食べられてきた。
わが国でも、若い女性が妊娠中に土壁をかじったり、地面の土を食べた事例は多数報告されている。北海道の先住民アイヌも、百合根と土を煮て食べていたという。
もちろん現代の日本で、土を食べる人などほとんどいない。しかし石けんやシャンプー、あるいはパックや入浴剤の原料として、クレイはにわかに注目を浴びている。
健康意識の高い人たち、美容に関心の高い女性たちにとっても、クレイは関心の的である。なにしろクレイには、体内の毒素を中和し、肌を強く美しくし、消化管の問題を解決して身体を内側からきれいにするといった力があるからである。
そうした人のなかには、日常的にクレイを食す人も出てきている。
粘土(クレイ)の効果:どんな症状に効くのか?
クレイは人体のシステムを改革する。
われわれの身体を構成するあらゆる細胞は老廃物を生みだす。クレイにはそれら老廃物を吸収し、身体への負担を減らす働きがあるからだ。
その結果、さまざまな疾患を改善、治癒することができるといわれている。
- 便秘、下痢
- 停滞便(宿便)
- 腹部膨満感、胃酸逆流
- その他、胃腸のトラブル
- 肌のハリツヤの喪失
- 肌のくすみ改善
- 老化
- 薄毛、脱毛
- 冷え性
- 免疫力の低下
- 糖尿病
- 肌荒れ、ニキビ、吹き出物
- 食物不耐症、食物アレルギー
- 不眠症
- 慢性疲労
ただし現在のところ、ウェブ上を眺めわたしても、クレイの効能効果について書かれた日本語の記事はさほど多くない。しかもそのほとんどは科学的根拠が希薄である。
しかし調べてみたところ、クレイの効果に関しては、実は100を超える科学的研究があった。というわけで、それら科学的エビデンスを参照しながら、クレイについて解説、考察してみたい。
なお、多くの研究がクレイの安全性を保証しているが、クレイの使用にまったくリスクがないわけではない。[参]
誤った使い方をすれば、腸閉塞や電解質のアンバランス、呼吸器系の障害をもたらす恐れもある。そのあたりも説明していくので、ご安心いただきたい。
それでは早速、神秘に満ちたクレイの世界をご案内することにしよう。