ガセリ菌の効果~肥満、アレルギー、カンジダ、ピロリ感染、疲労を改善

ラクトバチルス・ガセリ菌(以下、ガセリ菌)は、市販のプロバイオティクスなどにたまに配合されている。

わが国ではいまだビフィズス菌アシドフィルス菌ばかりが脚光を浴びていて、ガセリ菌と聞いても「なにそれ?」という向きも少なくないだろう。

けれどもわれわれの身体にいい刺激や効果をもたらし、健康に貢献してくれる微生物は、なにもビフィズス菌やアシドフィルス菌だけではない。これらが有名なのは、企業の思惑やマーケティング成果によるところも大きい。

一般の人びとが知らない、ガセリ菌の健康効果にフォーカスしてみたい。

ガセリ菌の健康効果

現在までに研究でわかっている、ガセリ菌の効果を大きく区分するとこの4つであろう。

  • 肥満の解消
  • 腸内環境の改善
  • 抗アレルギー
  • 有害菌と闘う

エビデンス——科学的な証拠を参照しながら、くわしく解説しよう。

1.肥満を解消し、糖尿病を改善する

体重を減らす

最近の研究で、ガセリ菌はヒトの体脂肪(皮下脂肪から内臓脂肪まで)をとりのぞき、BMI(ボディマス指数)を減少させることがわかっている。

健康な日本人を対象にした臨床試験でもそのことは立証ずみだ。ガセリ菌を継続的に摂取すれば、食事制限や運動にとりくむことなく、体重を減らせるというのである。

メタボリックシンドロームの予防と改善

してみると、ガセリ菌はメタボなひと、肥満ぎみのひとにとっては、要注目株ということになる。

実際、研究でもガセリ菌は、肥満傾向のある成人のおなかの脂肪(いちばん気になるヤツ)の蓄積を予防しながら、さらに体重を減らしたそうだ。

メカニズムは今後くわしく解明されるだろうが、ガセリ菌は食事から摂取した脂肪の分解と吸収を抑制してくれるようだ。

ちなみに内臓脂肪が増加すると、みっともないビール腹が進行するばかりでなく、体内の炎症レベルが高まることも知られている。

内臓脂肪自体が炎症性を持つからである。

そして脂肪からくる炎症が腸壁におよぶと、腸の透過性が高まる。結果、リーキーガットと呼ばれる状態を引きおこすこともある。

ガセリ菌はこうした脂肪組織の炎症、リーキーガットを抑制する力を持っている。

糖尿病の改善

肥満が抑制できるなら、糖尿病にもなんらかのベネフィットがあるのではないか。単細胞のわたしはそう考えて調べてみた。

するとマウスの研究では、ガセリ菌は2型糖尿病の血糖を引きさげ、ブドウ糖代謝障害を改善していた。そりだけでなく、インシュリンベルを低下させ、炎症を減らし、エネルギー消費を増大させたという。

ただしこれはマウスを使った研究である。1日も早い、ヒト臨床試験が望まれるところである。

コレステロールを下げる

ガセリ菌にはまた、コレステロール値をさげるという働きも報告されている。

ガセリ菌と水溶性食物繊維(イヌリン)の組み合わせは、高コレステロール血症の男女の総血中コレステロールを低下させ、LDLコレステロールとトリグリセリドを減らしたという。

ラットの実験においても、血中コレステロールを減少させている。

2.腸内環境の改善

テレビCMなどを見ていると、最近はガセリ菌を使ったヨーグルトなども市販されている様子。ガセリ菌には、腸内細菌叢を改善する効果ももちろんある。

ヒト介入試験ではビフィズス菌を増やし、有害菌を減少させることがわかったし、大腸菌に感染したマウスの生存率を高めた、といった報告もある。

下痢や潰瘍を治す可能性も示されている。マウスを使った実験ではロタウイルス感染による下痢の発症を抑制したり、胃潰瘍を治癒、あるいは潰瘍の発生を阻害することもわかっている。

3.抗アレルギー、免疫力増強

ガセリ菌の健康機能はそれにとどまらない。

花粉症などのアレルギーを抑えこむ働きも、わたしを含む全国2000万人の花粉症患者が刮目すべき点であろう。

ガセリ菌は、スギ花粉症患者の症状を改善し、スギ花粉に対する抗体反応を抑制する。さらに慢性のアレルギー性鼻炎患者の免疫反応を強化する力も有している。

動物実験でも、スギ花粉症に罹患させたマウスの免疫バランスを向上させ、好酸球の増加を抑えた(アレルギー症状を抑制した)そうだ。

喘息の症状を軽くする力もある。

喘息マウスの免疫反応を抑制し、症状を軽くしたという報告があがってきている。

4.有害菌(ピロリ菌、カンジダ菌)と闘う

カゼイ菌には、われわれの消化管に居座っている有害菌を撃退してくれる効果も期待できる。

カンジダ菌やピロリ菌の増殖、さらにその症状や炎症を抑制したという報告があるからだ。

5.その他

ここまで書いてきたのが、現在わかっているガセリ菌の健康機能である。

このほかにも疲労や気分の落ち込みを改善したり、子宮内膜症の症状(月経痛など)を軽減することもわかっている。

ガセリ菌のプロバイオティクス摂取について

プロバイオティクスの摂取は一般にリスクがないものと考えられている。

ただし腸の機能不全、とくに腸管バリアの脆弱化などが深刻な場合は、摂取はひかえるべきだろう。感染症の恐れがある。

同様に免疫システムや内臓に重篤なトラブルを抱えている場合も、摂取は見送るべきだろう。

参考 ガセリ菌のプロバイオティクスFOODHACK

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です