ベントナイトの鉱床は、ヨーロッパ、中東、アジアなど世界中にある。
ベントナイトという名は、米国ワイオミング州のフォートベントンに由来。その最大の特徴は、ほかの粘土と比べてもずば抜けて高い「膨潤性」にある。
ベントナイトは元の体積の何倍にも膨潤する。水を吸ったベントナイトクレイは強い粘りを持ち、ほかの物質を吸着する力も増す。
こうした特性を活かし、工業、土木、建設、製薬、鋳造、化粧品、食品、猫砂、ワイン醸造など、多種多様な業界で活用されている。
「1000の用途を持つ粘土」と呼ばれるとおり、実にさまざまな場所で便利重宝に使われているのだ。
ベントナイトの成分
ベントナイトクレイの主成分はアルミノケイ酸だ。そしてアルミノケイ酸の主成分は、酸化アルミナとシリカである。
それを聞いて、「アルミ? アルミニウムは人体に有害では……」といった疑問を持つかもしれない。だが、酸化アルミナとアルミニウムは別物だ。
ベントナイトの酸化アルミナは完全に不活性であり、シリカとの結合により、ヒトの身体は吸収、利用することができない。いわゆる「Bioavailable」ではないのだ。
大切なのは、この酸化アルミナとシリカの結合こそが、これからお話しするベントナイトの健康機能――強い解毒作用の源泉ということである。
ベントナイトクレイの効果
1.放射性物質も吸着し排泄する、超強力な解毒(デトックス)作用
酸化アルミナとシリカの結合によって、ベントナイトの粒子は負に帯電したイオンを大量に含む。これを専門用語で「イオン交換容量が高い」と言うが、別に覚える必要はない。
知っておきたいのは、
ということである。
これは、ベントナイトの粒子が、われわれの身体にとって有害な物質をがっちりと吸着し、取り除けることを意味している。
次のような有害物質は大抵、プラスに帯電しているからだ。
- 重金属(ヒ素、鉛、水銀など)
- 残留農薬(殺虫剤、除草剤、殺菌剤など)
- 化学物質(食品添加物、ダイオキシン、環境ホルモン、排気ガスなど)
- 放射性物質(ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなど)
- 人体の代謝物(老廃物)
また、さきほどお話ししたように、ベントナイトは水を吸うと何倍にも膨潤し、多孔質のスポンジのようになる。
このためベントナイトに引き寄せられた有害物質は、そのスポンジの穴に封じこめられてしまう。飲用した場合、そのまま便として排泄されるのだ。
ベントナイトの解毒(デトックス)力の高さは、数々の研究が証明している。
- アフラトキシン(強烈な有毒性、発がん性を持つカビ毒)を中和する。家畜の飼料はほとんどがカビ汚染されているので、畜産業界は汚染飼料の除染にベントナイトを活用している。[参][参][参]
- 農薬や除草剤に対抗できる。[参][参][参]
- 細菌毒素を吸収する能力が高い。腸内病原菌の放出する毒素除去にはカオリンやチャコールなどが用いられるが、さらに効率的に毒素を除去できる。[参]
- ベントナイトは重金属中毒に有効かつ信頼できる治療法である。鉛中毒は神経系や内臓を破壊する。しかしベントナイトの摂取によって鉛濃度は有意に低下する。[参]
- カドミウムによる肝臓、腎臓への影響を軽減する。[参][参]
- ウルシのアレルギー性接触性皮膚炎を治療する。[参][参]
- 刺激性あるいはアレルギー性の手湿疹を改善する。保湿クリームにベントナイトを含ませるだけでよい。[参]
- 乳児のおむつかぶれを治癒、改善する。[参][参]
放射能対策にも有効だ。ベントナイトクレイの細孔は放射性物質を引き込むからだ。
事実、クレイは放射性廃棄物の除去や保管のために世界中で活用されている。もちろん放射能漏れを防ぎ、さらなる汚染を食いとめる力があるからだ。
ちなみにクレイ粒子の表面積が大きいほど吸着力も大きくなるのだが、ベントナイトのそれは、ほかのクレイと比較してきわめて大きいことで知られている。
マサチューセッツ工科大学の鉱物学者、ロバート・マーチン氏によると、ベントナイトクレイ1gの分子の表面積は800平方メートルにもなるという。
クレイ6gなら、表面積は4万8000㎡。これは東京ドーム(4万7000㎡)に匹敵する。
2.肌を美しく、そして強くする
ベントナイトクレイの局所使用には、血行を促進し、細胞を活性化させ、毒素の排泄力を高める効果がある。
さらに余分な皮脂を吸収したり、浸透圧の力で毛穴の奥の汚れを引っ張りだすといった働きもある。
研究では、次のようなことが明らかになっている。
3.血糖値を抑制(抗糖尿病)
ベントナイトは糖尿病に対抗できる。
ベントナイトの経口摂取によって、血糖値が著しく低下する。消化器内のブドウ糖を吸収するからだ。ラットの実験では、体重1kg当たり1gのベントナイト摂取で、たった3日で血糖値の大幅な減少が見られたという。[参]
ヒトを対象としたさらなる研究が必要ではあるものの、ベントナイトは薬剤なしでの糖尿病コントロールに役立つ可能性が示唆されている。
4.遠赤外線効果
ベントナイトを入浴剤として使うと、遠赤外線の効果が得られる。血行が促進。身体がぽかぽか温まって筋肉が弛緩し、関節や筋肉の痛みもやわらぐ。
粘土浴にはまた、開いた毛穴を介して不純物、老廃物、化学物質などをクレイ粒子が吸着、排泄する効果もある。
5.消化管の問題を解消する
ベントナイトクレイは古くから下痢の治療に用いられてきた。
それだけでなく、食中毒、ウイルス感染、大腸炎、食物アレルギーといった、消化管に関連するさまざまな症状の97%を治療することができる。[参]
研究ではさらに次のようなことも確認されている。
- 腸粘膜の完全性や、胃酸などの消化酵素の分泌量に影響を与える。[参]
- 大腸内の酵母の過増殖を抑制する。[参]
- 腸内の毒素や老廃物の再吸収を抑制する。腸内に放出された尿素の吸収を阻害することも確認された。[参]
米国生物学研究所によると、ベントナイトの継続的な摂取は消化酵素を増やし、胃腸内のpHバランスを改善し、食物不耐症を軽減させるという。なお、彼らの研究対象は、カリフォルニア州のコロラド川デルタで採取されるモンモリロナイトである。
6.高い抗菌性
天然の地質鉱物は抗菌性を保持している。つまりベントナイトにも抗菌性があるということだ。[参]
実際、研究でも次のようなことが確認されている。
- ベントナイトクレイは、体温(37℃)と同じ温度条件下で、広範囲の細菌を殺す。[参]
- 細菌に化学的作用を与えることで、抗菌剤として使える可能性がある。[参]
- 大腸菌のバクテリオファージT1とT7を吸収できる。[参]
最後のバクテリオファージT1、T7というのは、何のことかわからないと思う。バクテリオファージというのは、細菌などに寄生し、DNAを複製しながら増殖するウイルス(細菌も感染する!)のことだ。T1とT7は大腸菌に感染していくタイプ。ベントナイトはそういうものを排除するのである。むろん健康な大腸菌は影響を受けない。
つまりベントナイトクレイは、腸管内の毒素だけでなく有害なバクテリアまで根こそぎ吸着する。さらに腸壁に保護膜をつくる。この保護膜は1回の摂取で約12時間維持されることがわかっている。
7.ミネラル補給源
ベントナイトは多様かつ豊富なミネラルを含む。
主成分はケイ酸(シリカ)だ。ケイ酸は、ベントナイト全体の40~60%程度を占める。
ケイ酸はケイ素の化合物であり、ケイ素は皮膚や髪、爪、血管、細胞壁などに含まれるミネラルだ。皮膚の弾力や水分保持機能などに関与している。
ほかにもカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、塩素といった主要ミネラルから、鉄、銅、亜鉛、塩素、マンガン、硫黄、クロム、モリブデン、ヨウ素、コバルト、セレンなどの微量ミネラルまで豊富に含み、ベントナイトの摂取はこうしたミネラルの補給源となりうる。
NASAは1960年代、宇宙飛行士のミネラル補給源として、ベントナイトに着目した。
宇宙飛行士は無重力下でカルシウム欠乏を起こしやすい。最初はカルシウムのサプリメントを与えたが、まるで役に立たなかったそうだ。
しかしベントナイトの摂取が人体のカルシウム吸収効率を劇的に高めることを発見。全食事量の1~4%で摂ると、カルシウムだけでなくほかのミネラルもより効率よく補給できることがわかったのだ。解毒作用まで出現することを突きとめた。
ついでに言っておくと、ベントナイトは髪にもよいかもしれない。羊の実験で、ベントナイト摂取が羊毛の成長を促進したそうである。[参]
まとめ
ここまで見てきた健康機能に鑑みると、まさに「万能薬」と呼ぶにふさわしい。クレイは母なる地球が数百万年、数千年とかけてつくりだした、生き物への贈り物である。
野生動物は日常的にクレイを食べている。植物毒など自然界に存在する毒素を大量に摂取する彼らには、クレイの中和作用が欠かせないものだからだ。
ひるがえってわれわれヒトも、農薬や抗菌剤、抗生物質、ホルモン剤などの化学物質(毒である)を使って大きくなった動植物や、食品添加物まみれの食品ばかりを食している。日常的に重金属や有害化学物質に触れて暮らしている。
年をとるごとにそうしたものは体内に降り積もっていく。このことはあらゆる病の発症リスクを上昇させているに違いない。リスクを下げる唯一の方法は、デトックスにある。
ベントナイトクレイは、消化液の分泌を適切にコントロールし、食事とともに消化管内に入ってきた有害物質をがっちりと捕まえて排泄する。ヒトの身体が産生する毒素(老廃物)や病原菌も、その壁を破ることはできない。
さらに腸粘膜を保護し、腸管バリアの働きを改善する。必須ミネラルや微量元素の補給にも役立つ。
みずからの手で汚染した惑星に棲むわれわれにとって、ベントナイトは最高のデトックス食ではあるまいか。311後、内部被爆のリスクを抱えるわれわれ日本人にとって、ベントナイトの摂取は民族の遺伝子の守るほとんど唯一にして最良の自衛手段ではなかろうか。
質問失礼します。
ベントナイト製品に、不純物やヒ素、鉛が入っていたとしたら、ベントナイトが吸着してくれるわけではないのですか。
ベントナイトを水に溶かせば、製品に入ってしまった不純物も吸着してくれるんでしょうか…?
そしたら化粧品グレードも、食用も同じになりますか?
私も疑問に感じた点です。で、その際に調べてみたのですが、そういった研究論文は存在しませんでした。
が、海外の専門家のブログなどに以下のような説がありました。
1.ベントナイトは鉛のほか、微量のクロム、カドミウム、セシウム、リチウムなども含んでいる(むろんすべて人体に有害)。ただしベントナイトと結合しているため、体内に蓄積されることはない。
2.クレイを食べると、そこに含まれる毒素のほとんどを胃酸が引き出してしまい、体内に吸収されてしまう。
相反する意見ですね。どちらかが正しいのかはわかりません。
しかしいずれにしろ、クレイの吸着性能を超えて重金属が含まれていれば、水溶液中に放出されるでしょうし、そうでなくてもクレイの吸着力が低下します。そもそもリスクをとってまで、わざわざグレードの低いクレイを摂取する理由はないと私は考えます。
初めまして!
カルシウムベントナイトとナトリウムベントナイトの見分け方をご存知でしたら教えてください。
いやあ、見た目ではまず区別つかんと思いますよ。ナトリウムのほうは飲んだときわずかに塩味を感じる気がしますが、これも両方用意して比較してみないとわからんでしょうね。