アロエベラの効果、そのメカニズムと副作用

アロエベラ

アロエベラは、緑色の分厚い葉を持つ多肉植物だ。アジアを始め、ヨーロッパやアメリカ、アフリカの乾燥した場所で生育する。葉の内部(葉肉)はゼリー状で、美容や健康面ですぐれた薬効を持っており、生薬としても用いられている。[参]

薬効についてはさまざまな研究が行なわれており、エキスを抽出したものには、皮膚の感染や膿疱、ケガ、ヤケドに効くという報告も多い。糖尿病や高脂血症にも効くという。

しかし一般には、世の女性たちが肌を磨くため、スキンケアに用いることが多い。すぐれた保湿力があり、肌をやわらかくして、しわを減らしてくれるからだ。

人びとはこれまで何世紀ものあいだ、アロエを大切に育て、利用してきた。いつもは観賞用として、何かあれば民間治療薬として役立ってくれる。

アロエには数百種もある。薬効を期待して利用されるのはアロエベラとケープアロエ、そしてキダチアロエ。ケープアロエは、わが国では医薬員の原料となっている。この記事では世界中でとくに親しまれているアロエベラについて書いていく。

葉山
葉山

わたしの母親も昔、玄関先でアロエの鉢植えを育てていた。ケガをしたら、葉をぼきんと折って、中のゼリー(ゲル)を傷口にすりこんでくれた。たしかに傷の治りが早かった。なお、日本で広く栽培されているアロエは「アロエベラ」でなく、「キダチアロエ」である。昔から「医者いらず」と呼ばれている。

アロエベラの効果を得るには?

ゲル

アロエゲルを皮膚に塗りつけると、炎症が軽減し、肌がきれいになる。傷が早く治る。[参]

サプリメント、ジュース

アロエは便秘の特効薬として利用されている。この場合はもちろんサプリやジュースなどを利用する。アロエをそのまま食す人もいる。たとえばアロエ入りのヨーグルトなどがそうだ。

糖尿病の症状軽減のため、サプリやジュースを飲む向きもある。[参]

アロエベラの葉は3つの層からなる

アロエベラの葉は3層に分類できる。[参][参][参]

  • 外皮(外側):アロエ自体を保護し、炭水化物とタンパク質を合成する、外側の厚い層。内側には、水やでんぷん質などを輸送する血管束がある。
  • ラテックス(中間層):苦い黄色の樹液だ。グリコシドとアントラキノン(フェノール化合物)を含んでいる。
  • 透明ゲル(内側):水分が99%で、残りはグルコマンナン、アミノ酸、脂質、ステロール、そしてビタミンでできている透明のゼリー。活性化物質はグルコマンナン、サリチル酸、ステロールだ。
葉山
葉山

各成分の名前――グリコシドとかアントラノンキンなどがよくわからなくてもかまわない。調べる必要も、知る必要もない。どんどん読み飛ばしてほしい。

ただ知っておきたいのは、外側の皮を利用しても意味がないということだ。アロエベラの有効成分の大部分は、中間層のラテックスと内側の透明ゲルが含んでいる。アロエベラのビタミンとアントラキノンは、抗酸化力が高く、酵素や糖タンパク、脂肪酸、ホルモンは、抗炎症性を持っている。[参]

アロエベラの効果

1.傷を治す

背中にアロエベラゲルを塗ったら、日焼けが癒えたという。アロエベラゲルは、ステロイド外用薬より炎症や赤みを軽減するという点で優秀だったそうだ。[参]

さらに30人のヤケド患者の研究(ランダム化比較試験)において、アロエベラゲルは抗菌性軟膏よりヤケドを治療するのに効果があった。アロエベラゲルには、抗生物質の軟膏より迅速に皮膚の再生を促進する力があるのだ。[参]

顔の傷跡に悩む18人の人びとに対して行なわれた研究では、アロエベラゲルが傷を癒やすのを助けたという。抗菌性軟膏より傷の痛みも軽くなったのだ。[参]

顔全体の皮膚が剥離したある患者(たぶんヤケドだろう)に対する臨床実験では、標準的な治療に比べ、アロエベラゲルを塗布した部位で、むくみや浸出液の有意な減少が確認された。結果として、標準的な治療より創傷の治癒が約72時間も早かったという。[参]

葉山
葉山

回復が早ければ、細菌感染やケロイド形成のリスクを減らせるだろう。しかしこの臨床実験では、患者の顔の半分にアロエベラを塗り、残りの半分に通常の軟膏を塗ったそうだ。アロエベラを使っていない部分にだけケロイドが残ったらどうするのか。研究のためとはいえ、乱暴なことをする研究者(医師)もいるものである。

ちなみにアロエベラの有効成分のグルコマンナンとジベレリン(成長ホルモン)は、皮膚細胞の成長を刺激する。だからアロエベラの外用や経口摂取はコラーゲン形成、その組成を改善し、創傷の治癒を促進するのである。[参][参]

2.皮膚症状を改善

工場の組立ラインで働いている、手の乾燥に悩む女性30人を対象とした研究で、アロエベラゲルを塗った手袋を1日8時間着用したところ、平均3.5日で乾燥肌が改善したという。10日後には顕著な改善が見られ、皮膚の強度、しわ、赤みがよくなったそうだ。[参]

ラットの皮膚にアロエベラゲルを塗布した研究でも、抗酸化タンパク質が増えた。抗酸化タンパク質は、日焼けによる皮膚へのダメージを抑え、免疫抑制物質の放出を減少させるものだ。[参]

アロエベラに含まれる糖質は、肌をやさしく保湿する。皮膚をやわらかくし、弾力を増し、しわを減らすのである。[参][参]

3.抗炎症性

ヒトの大腸の炎症を、アロエベラゲルが抑えこんだという研究もある。容量が多いほど効いたそうだ。アロエベラは、炎症性腸疾患の治療に使える可能性があるということだ。[参]

さらにヒトの免疫細胞の炎症マーカーを抑制することもわかっている。[参]

マウスの実験などでは、耳に塗ったら、炎症が治まったという。[参]

4.抗菌性

390人を対象とした研究(ランダム化比較試験)では、アロエベラの洗口液が、専用のマウスウォッシュと同等のプラーク除去効果を発揮することがわかった。[参]

さらに口腔内の損傷や病気の原因となるヘルペスウイルスを、われわれ自身の細胞を破壊することなく殺すことができるという。[参]

アロエベラはお口の健康に役立つばかりでなく、有効成分「アロイン」には、複数のウイルス(インフルエンザやヘルペス、水痘帯状疱疹)を不活性化する働きがある。また、アロエベラの抽出物は大腸菌や肺炎桿菌、黄色ブドウ球菌を阻害することもできる。[参] [参]

精製されたアロエベラタンパク質は、真菌の増殖を抑制するともいう。効果が認められたのは、カンジダ菌などだ。[参]

アロエベラに含まれる抗菌性の化合物はウイルス、細菌、さらに真菌を抑制する。バクテリアの細胞を分解して成長をとめてしまうのだ。[参][参]

5.便秘解消(緩下剤)

アロエベラは便秘をやわらげるのに役立つ。35人の慢性便秘患者が対象の研究では、アロエベラが便秘薬より便秘を改善させたそうだ。患者らは排便回数が増え、便がやわらかくなった。下痢も減ったのだ。[参]

が、別のラットの研究では、アロエベラから抽出したアロエエモジンが強力な下剤効果を発揮し、下痢を誘発したそうである。[参]

アロエベラの下剤効果は、中間層のラテックスに含まれるフェノール化合物が原因である。フェノール化合物が腸を刺激し、腸内の水分量を増やし、腸のぜん動運動を刺激するのである。[参]

6.胃酸逆流と胸焼けを緩和

逆流性食道炎患者79人を対象とした試験で、アロエベラは胃酸逆流とそれに伴う胸やけを緩和するのに役立ったという。[参]

一般的な処方薬と比較して、アロエベラは胸やけ、吐き気、ガスといった症状をより強力に改善した。しかも有害な副作用はほとんどなかった。[参]

7.毛髪保護

強い紫外線によって、毛髪がダメージを受けることがある。毛髪サンプルを使った実験では、アロエベラジュースは紫外線に対し、毛髪を保護する効果があることを示している。[参]

8.免疫強化

アロエベラは、抗酸化物資を多く含んでいる。ビタミンC、ビタミンE、フラボノイド、タンニン、カロテノイドなどだ。だから免疫システムを保護することができる。[参]

モルモットの実験では、肥満細胞の形成を阻害したそうだ。肥満細胞は、炎症やアレルギー反応を引き起こす白血球。アロエ成分が肥満細胞の形成を抑えこむことで、ヒスタミンの放出を防ぎ、アレルギー反応をとめるのである。[参]

アロエベラのジュースに含まれる糖質が、白血球(マクロファージ)を活性化させ、免疫系の機能を刺激することもわかっている。[参]

9.抗がん

アロエベラに含まれる種々のポリフェノールは、ヒトの細胞におけるがん細胞の増殖を停止させた。さらに皮膚がんの成長を抑制した。アロエの有効成分の「アロエエモジン」を化学療法薬と組み合わせることで、効果がより高まるという。[参]

また、アロエゲルから抽出した多糖類は、発がん物質の形成に対する抑止力がある。[参][参]

アロエベラ成分のアロエエモジンやアロイン、アントラセンエモジンなどの成分は、がんの分子経路を不活性化することから、がんの予防を期待できる可能性もある。[参]

10.糖尿病の症状を改善

アテローム性動脈硬化症を有する糖尿病患者30人の研究で、アロエゲルサプリメントの服用が糖尿病のコントロールに役立つことがわかった。

300mgのアロエゲルサプリを1日に2回、2か月服用したところ、血糖、総コレステロール、LDLレベルが低下したのである。血糖値の長期測定であるヘモグロビンA1c(HBA1c)も低下した。[参]

2015年のメタアナリシスでも、アロエベラの経口摂取によって、糖尿病の空腹時血糖値とHBA1cを有意に減少させることがわかっている。[参]

ヒト細胞において、アロエベラ化合物(アロエエモジン配糖体)が、体内のグルコースレベルを引きさげ、インスリン抵抗性を抑制するのに役立つこともわかっている。[参]

アロエベラ使用上の注意

副作用

アロエベラの副作用としてはこんなものがある。[参]

  • 皮膚の発疹
  • 皮膚への刺激
  • 胃けいれん
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 便秘

とくに高用量のアロエベラの服用は、肝炎や肝機能障害、腎不全、肝機能障害、さらに甲状腺機能亢進症などを引き起こすことがある。[参]

マウスの脳活動を低下させることもあった。マウスは90日後に精子が損傷を受け、赤血球数が減少し、死亡するケースが増えたそうだ。[参]

アロエベラを継続的に経口摂取することで、カリウム欠乏を引き起こす可能性もある。これは循環器系のトラブルにつながる心配がある。[参]

ラットの飲み水に2年間、アロエベラ抽出物を投与したところ、ラットの腸内で腫瘍が発生したことがあった。[参]

葉山
葉山

むろんアロエにかぎった話でないだろう。いくら身体によくても、常識はずれの量を飲んだり、長期間服用しつづけるとかならずリスクが生じるものである。

服用量

外用の場合、とくに使用量の制限はない。アロエベラは乾燥を防ぎ、皮膚をやわらかくして、しわを減らしてくれる。[参]

便秘に使う場合は、0.04〜0.17グラムの乾燥アロエベラジュースが推奨される。[参]

ちなみに糖尿病の治療目的で服用する場合、一般には1日2回、5〜15mLのアロエベラジュースを飲むという。[参]

注意点

皮膚損傷にアロエベラが効くという研究者がいる一方で、相反するエビデンスもある。便秘解消を期待しての服用でも、長期にわたる服用は、脱水症状や電解質の不均衡が起きる可能性がある。

いずれにしろ、アロエベラの薬効を確かめた試験には動物実験も多い。われわれ人間が利用する場合、それなりに注意するべきだ。ヒトを対象にしたさらなる臨床試験が待たれる。

なお、アロエベラはユリ科の植物である(現在はススキノキ科に分類)。ユリ科(アスパラ、ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラ、らっきょうなど)にアレルギーがある人は、注意しよう。

妊婦も服用しないほうがいい。胎児に影響があらわれることがある。消化器が収縮することで、流産につながる恐れだってある。[参][参]

心臓や腎臓にトラブルを抱える人も、前述のように電解質の不均衡やカリウム欠乏を招く可能性があるため、注意する必要があるだろう。[参]

アロエベラの入手

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