ラクティス菌の効果~肌をみずみずしく保ち、老化と闘う乳酸菌

ラクトバチルス・ラクティス(以下、ラクティス菌)は、ヒトの腸内で見つかることもある身近な乳酸菌である。

チーズや漬け物などの発酵食品の製造にも利用されている。強力な健康機能を持つことがいくつもの研究で証明されているクレモリスFC株(カスピ海ヨーグルトにいる乳酸菌)もラクティス菌の一種である。

一般的なプロバイオティクス――健康食品としての効果に関する研究は進んでいないが、一方でラクティス菌を各種疾患の治療に用いようというアプローチもある。

たとえば次のような疾患への有用性が研究で明らかになりつつある。

  • IBD(大腸炎やクローン病などを含む炎症性腸疾患)
  • HIV
  • 1型糖尿病

現状判明しているラクティス菌の健康効果をこれから紹介していく。われわれの健康維持や回復に役立つ可能性があることがおわかりいただけるであろう。

ラクティス菌の効果

ほかの乳酸菌同様、ラクティス菌にもいろんな健康機能がある。

まずは世の女性たちに着目してほしい働きから解説していこう。

1.美肌

30代から60代の日本人女性30人を対象にした臨床試験で、ラクティス菌を8週間経口摂取すると、水分保持機能が高まり、肌の弾力性がいちじるしく改善したという。

別の日本の研究でも、ラクティス菌は女性の頬のスキンバリアを強化。研究者らは、ラクティス菌は若い女性の肌に有益な効果をもたらすと結論づけている。

2.アンチエイジング

老化対策に有益な可能性も示されている。

長期にわたるラクティス菌の経口摂取は、マウスの骨密度低下と体重減少を食いとめることがわかっている。

ラクティス菌の摂取はさらに、腸内細菌バランスを改善し、体内の代謝物質に影響をもたらして、老化による聴力の低下を食いとめたという。

3.抗ガン

ラクティス菌には次のようなガン細胞の増殖を抑制する力がある。

ラクティス菌が闘えるガン細胞

肺ガン、乳ガン、胃ガン、結腸ガン、直腸ガン

4.胃腸炎を改善する

多くのプロバイオティクス乳酸菌が炎症性腸疾患(IBD)の治療および予防の有効な手段になるとわかっているが、ラクティス菌もその例に違わない。

ラクティス菌には抗炎症作用があり、IBDによって起きる腸粘膜の損傷などを防ぐ力があることが解明されつつあるのだ。

カスピ海ヨーグルトの乳酸菌であるクレモリスFC株はラクティス菌の一種であるが、こちらにも大腸炎の症状を改善する力がある。

ちなみにIBDには潰瘍性大腸炎やクローン病などが含まれる。

5.抗アレルギー

ラクティス菌には抗アレルギー作用がある。アレルギーを予防することができるのだ。

台湾の漬け物(発酵キャベツ)からそこにいる乳酸菌を分離し、その効果を調べた研究では、ラクティス菌は卵白にアレルギーを持つマウスのアレルギー症状を改善。生菌でも死菌でも同様の効果が得られたそうだ。

ほかの研究でも、ラクティス菌は食物アレルギーのマウスのアレルギー症状をいちじるしく減少させたという。

ドイツの研究チームは、農家の子どもたちにアトピーや花粉症、喘息が少ないことから、幼少期に牛舎や農場の動物たちと接触したり、生乳を飲んだりすることが、アレルギーの発現を抑制するという仮説を立て、実験を行なっている。その結果は仮説を肯定(証明ではない)するものであった。

微生物の多様性が担保されている環境で微生物との暴露を繰りかえしながら育つと、子どもはアレルギー疾患を発症しにくい。昨今、衛生仮説(清潔すぎる環境がアレルギー疾患の増加に関わっているという説)を否定する向きも多いが、この研究に携わった研究者らは衛生仮説を強く支持すると表明している。

ラクティス菌の、アレルギーやアトピー性皮膚炎への効果をさらにくわしく知りたい方は、クレモリスFC株について調べてみてほしい。クレモリスFC株はカスピ海ヨーグルトに含まれるラクティス菌で、その抗アレルギー、抗アトピー作用はあまたの研究ですでに明らかだ。

6.免疫力向上

アレルギー抑制作用に通ずる話であるが、ラクティス菌には抗ウイルス免疫を増強する働きが見込める。

インフルエンザウイルスに対抗する力も強く、NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化する働きもある。

さらに肺炎球菌に感染したマウスにラクティス菌を経口投与したところ、肺の損傷が少なくなり、生存率が増加。局所的および全身的な免疫反応を改善したという。有効な肺炎球菌の経口ワクチンとしての利用も期待できると研究者はいう。

7.酸化防止

ラクティス菌には酸化を防止する作用があることが、実験室の研究であきらかになっている。

8.血圧をさげる

動物実験で、ラクティス発酵乳(ラクティス菌で発酵させた牛乳)には血圧をさげるいちじるしい効果があることがわかった。さらに心拍数をさげたり、血中の脂質を減らす作用もあることも判明している。

ラクティス菌を摂取する際の注意点

基本的に非病原性であるので、健康な人は問題なく摂取可能であるが、内臓や消化管あるいは免疫システムにトラブルを抱えている場合、感染症のリスクがある。事前に医師の判断をあおぐべきだろう。

とりわけ重大な免疫不全や腸管バリア機能不全に陥っている場合は、摂取はひかえるべきだ。

近年、実際にラクティス菌による感染症も多く報告されている。乳幼児がラクティス菌による慢性下痢や菌血症を発症したケースなどだ。ただしこれらはサプリメントの摂取によるものではなく、別の疾患による免疫力低下で腸内常在菌が引きおこしたもののようである。

クレモリスFC株の代表的なサプリメント

ラクティス菌の一種、クレモリスFC株のサプリメント。

参考 ラムノサス菌のプロバイオティクスFOODHACK

 

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