パパが倒れる前に、こっそりできること

家族の食卓

「うちのパパ、健診でひっかかって……」「糖尿病予備軍って言われたけど、本人はケロッとしてて」

そういう話、周りのママ友からよく聞きませんか。当の本人は危機感がなくて、でもこちらは心配で、何かしてあげたいけど何をすればいいかわからない。

この記事はそんなあなたのための記事です。パパに「糖質を控えて」と言う必要はありません。気づかれないくらいさりげなく、でも確実に、毎日の食事から家族の体を守る方法をお伝えします。

はやま

わが家では夕飯を毎日わたしがつくっています。家族はお肉が好きで、わたしは魚派。量も品数も家族のほうが多め。でも手は抜かない。というか、自分の分よりむしろ家族の食事のほうをちゃんとやっています。医食同源。食べるものがそのまま体をつくるという考えが、料理をするときの根本にあるからです。

糖尿病は「なってから」では遅い

少し怖い話をさせてください。

以前、入院していたとき、斜め向かいのベッドに糖尿病の患者さんがいました。合併症で左足を切断していた方です。病院食はもちろん糖尿病用の管理されたもの。でもそれでは足りないらしく、奥さんに頼んでこっそりおにぎりやサンドイッチを買ってきてもらっていた。それを棚の中にこっそりしまっていました。

あるとき看護師がその棚を開けたら、おにぎりやパンが雪崩を打って転がり落ちてきて、こっぴどく叱られていました。

正直、驚愕しました。足を失っても、なお。家族がいるのに、なぜ——と。

でも今ならわかります。あれは意志の弱さじゃない。糖質への欲求というのは、本人の意思よりずっと強い。体そのものが「食べろ」と命じる。「食べるな」という意思に、見えない打ち消し線が入ってしまう。とくに体が弱っているときは、その欲求に抗う力も弱まります。あの方を責める気にはなれません。

だからこそ、なってからでは遅いのです。糖尿病になれば病院の指導に従うことになり、外からできることはほとんどなくなります。その前に、日常の食事から少しずつ変えておく。それが今、あなたにできる一番大切なことです。

はやま

友人が糖尿病で、奥さんから「何かしてあげたいけど何をすればいいかわからない」と相談されたことがあります。でも当の本人が白米大好き・食べるの大好きなタイプで、なかなか難しそうでした。飲みに行くと、みんなが「もう遅いからやめとく」と言っても一人で席を抜け出して締めのラーメンを食べて戻ってくるような人で(笑)。食事制限をしているから、その反動もあったのでしょうね。

「カロリー制限」と「糖質コントロール」は何が違うのか

病院で糖尿病や予備軍と言われると、多くの場合「カロリーを控えてください」と指導されます。これが現在の標準的な食事療法です。

カロリー制限の考え方はシンプルで、食べる量全体を減らすというものです。ただ、問題があります。とにかくお腹が空くのです。食べたいのに食べられない。それがストレスになり、外で「解放」してしまう。先ほどの友人のラーメンのように。

一方、糖質コントロールは食べる量を制限しません。肉も魚も野菜も、糖質が少ないものは基本的に食べてOKです。減らすのは白米やパン、麺類、お菓子、甘い飲み物など、血糖値を急上昇させる食品だけ。

なぜ糖質を控えることが糖尿病や予備軍に有効なのか。それは糖尿病の根本的なメカニズムと関係しています。血糖値が上がり続けることでインスリンの分泌が追いつかなくなり、やがてすい臓が疲弊していく。その悪循環の入口にあるのが、食後の血糖値の急上昇だからです。

ただし、すでに糖尿病の治療中でインスリン注射や血糖降下薬を使っている場合は、食事を変えることで低血糖を起こす危険があります。治療中の方が食事を変える際は、必ず担当医に相談してください。この記事でご紹介するのは、あくまで家庭でできる予防的な食の工夫です。

パパに気づかれずにできる、5つの食卓の工夫

「糖質を控えて」と言葉で伝えても、なかなか伝わらないのが現実です。それより、気づかれないくらいさりげなく食卓を変えてしまうほうが、ずっと効果的です。

①白米に大麦を混ぜる

最も手軽で効果的な方法です。白米を炊くとき、大麦(押し麦)を2〜3割混ぜるだけ。見た目も味もほとんど変わらないのに、食物繊維が増えて血糖値の上昇が緩やかになります。

とくにおすすめなのはレジスタントスターチを含む大麦です。腸内環境を整える効果もあり、腹持ちもよくなります。「なんかご飯が最近おいしい気がする」くらいの変化で、気づかれないことがほとんどです(笑)。

②コーヒーの砂糖をステビアに替える

コーヒーに砂糖をたっぷり入れないと気がすまないパパには、ステビアという天然甘味料がおすすめです。植物由来で血糖値をほとんど上げず、甘みはしっかりあります。

「砂糖を減らして」と言うより、こっそり替えてしまうほうが早い。飲んでいる本人が気づかないケースも多いです。

③おかずを増やして、自然とご飯が減る食卓に

白米の量を減らすと言うと抵抗されますが、おかずを豊富にすれば自然とご飯のおかわりが減ります。肉、魚、卵、豆腐、野菜など、糖質の少ないおかずをどっさり出す。「今日も豪華だね」と喜ばれながら、ご飯の量がさりげなく減っていく。無理せず糖質の割合を減らせる作戦です。

④パンを低糖質のものに替える

朝食にパンが多い家庭なら、ふすま入りの低糖質パンに替えてみてください。最近はスーパーやネットでも手軽に手に入るようになりました。食感や味もかなり改善されており、「なんかこのパン、おいしいね」と言われることもあります。

⑤甘い飲み物を家に置かない

冷蔵庫にジュースや甘い缶コーヒーがあれば、手が伸びます。なければ伸びない。シンプルですが、これが一番効きます。代わりに麦茶や緑茶、炭酸水を常備しておく。喉が渇いたときに自然と手が伸びるものを変えるだけです。

それでも「食べたい」気持ちは責めないで

パパが甘いものをやめられない、白米を減らせない——それは意志が弱いのではありません。糖質への欲求は、体のしくみが生み出すもので、本人の意思だけでは簡単に抗えません。

だから「なんでやめられないの」と責めても逆効果です。食卓をこっそり変えて、気づいたら体が少し楽になっていた。そういう変化を積み重ねていくほうが、ずっと現実的です。

あなたが今日の夕飯で何を出すか。それが、5年後10年後のパパの体を少しずつ変えていきます。大げさではなく、本当にそういうことだと思っています。

はやま

わたしの父親も、いま糖尿病かもしれないと言われて検査結果待ちです。「糖質を控えてみたら」と言っても、おそらく耳を貸さないでしょう。以前、母がガンになったとき玄米をすすめてもスルーされましたから(笑)。でも、なってからでは遅い。その前に知識を持っておくこと、食を通じた予防をやっておくことの大切さを、身近な人を見ていてあらためて感じています。

糖質コントロールの具体的なやり方や、何を食べていいか迷ったときの参考になる食品一覧は、次の記事でまとめています。

食卓の上に、肉・魚・卵・野菜・豆腐などのおかずが豊かに並んでいる 糖質コントロール、うちの家族にもできる? さまざまな食材 食品別・糖質量まるわかりガイド

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