子どもが初めて自転車に乗れた日のことを、親はたいてい覚えているもの。
「あ、乗れてる」と気づいた瞬間の、あの不思議な感覚。誇らしいような、ちょっと切ないような、子どもの背中がふいに遠くなったような気がする、あの感じ。
うちの娘の場合、その日は突然やってきました。それまで何度練習しても、ちっとも乗れなかったのに。
はやま
でも、あることに気づいてからは、あっという間でした。今回は、うちで実際に使った方法をお伝えします。ペダルなし自転車(ストライダーなど)の練習にも使えますよ。
「転ばなかった世代」が増えている理由
わたしたちが子どもの頃、自転車の練習といえば、何度も転んでひざ小僧をすりむき、乗れるようになるまでに何日もかかるものでした。
ところが最近、すんなりと乗れてしまう子どもが増えています。理由は、ストライダーに代表されるペダルなし自転車の普及。
両足で地面を蹴って進むあの乗り物、見た目はおもちゃっぽいのですが、理にかなっています。二輪車に乗るために必要なバランス感覚が、遊びながら自然に身についていく。
だから、補助輪つき自転車に乗っていた子でも、一度「ペダルなし状態」を経由すると、上達が格段に早くなります。自転車屋さんに頼めばはずしてもらえますが、15mmのレンチがあれば自分ですぐにはずせます。
すでにストライダーに上手に乗れる子は?
この練習は必要ありません。もうそのまま普通の自転車に乗れます。サドルを軽く支えてあげて、様子を見て黙って手を離すだけ。「いま手離してたよ」「え?」で終わります。
どんな子でも乗れる、3ステップ練習法
自転車はスピードが出ると安定します。逆に、チョンチョンとゆっくり地面を蹴っているだけでは、フラフラして余計こわい。だから、最初からズンズン前に進めるようにしてあげることが大切です。そのための3ステップがこちらです。
STEP 1|スタート時の足の位置を、前にずらす
こわがっている子は、体のすぐ真下か、少し後ろの地面を蹴ろうとします。これだとチョンチョン蹴りになってしまい、スピードが出ません。
手を子どもの足に添えて、できるだけ前方に接地するように誘導してあげましょう。そうすると、足が地面から離れる時間が自然と長くなります。
STEP 2|地面を蹴るタイミングで、サドルをそっと押す
子どもが蹴るのと同時に、後ろからサドルを軽く押してあげます。スイッと前に進んで、足の滞空時間がさらに伸びます。スピードが出るとバランスもとりやすくなる——。こんな好循環が生まれます。
STEP 3|進行方向のずっと先を見させる
これが、うちの娘に一番効きました。
娘はいつまでたってもフラフラしていました。すぐに足を地面についてしまい、スピードが出ない。なぜだ。じっと観察していたら、気づきました。足元ばかり見ていたのです。
近くの景色は流れる速度が速い。それが恐怖感を生み、体が不安定になる。大人でも、下を見て自転車に乗ったらふらつきますよね。
そこでわたしは娘の前方に回り込んで、こう言いました。
はやま
隣で妻がブッ、と吹き出すのがわかりました。
それからは、わたしが前方で手招きしながら「こっちこっち!」と声をかけ、サドルを押す役は妻に交代。すると娘の姿勢がすっと安定して、地面から足が離れる時間が目に見えて長くなりました。大きく蹴り出せるようになって、スピードも出てきた。
ここまでくれば、あとは一気です。
ペダルをもとに戻して、わたしがサドルの後ろにそっと手を添えます。ほどなくして、そっと手を離しました。
娘はそのまま、すーっと走っていきました。
「いま、手を離してたよ」
「え?」
というわけで、わが家の自転車練習は数時間で幕引きとなりました。めでたしめでたし。
どうしてもうまくいかないときは
それでも乗れない場合、考えられる原因は主にふたつです。
こわがりすぎる場合:あえて転ばせてみるのも手です。転んだことのない子ほど、転ぶことを怖れます。ヘルメットとサポーターをしっかりつけて、やわらかい土の上でゆっくり転ばせてみてください。「あ、たいしたことない」とわかると、その後の練習がぐんとはかどります。
自転車のサイズが合っていない場合:これが意外と多い原因です。子ども服のように「どうせすぐ大きくなるから」とワンサイズ上を買うのは、自転車では厳禁です。両足のつま先がしっかり地面につく、ジャストサイズを選んでください。
交通公園という手もあります
自治体が運営する交通公園(信号や標識のある公道を模した施設)には、さまざまなサイズの自転車が無料で用意されています。娘はここが大好きで、休みのたびに「連れてって」とおねだりしていました。帰りに寄る回転寿司屋のガチャガチャが目当てだった疑惑もありますが。
練習前に確認したい4つのこと
- ヘルメットは必ずかぶる(あごベルトもしっかり締める)
- 長ズボン・長袖が理想(転倒する、ひじや腕を壁などにこすりつける)
- ブレーキレバーの位置と固さを確認(子どもの小さな手で握れるか)
- 叱らない、ほめすぎるくらいほめる(「もうやりたくない」と言い出したら親の負け)
乗れるようになった、その先のこと
子どもが自転車に乗れるようになると、肩の荷がひとつおりたような気がします。でも、親の役割はここで終わりではありません。
自転車に乗れることと、公道を安全に走れることは、まったく別の話。信号の渡り方、車の死角、左側通行のルール。体で乗り方を覚えたように、ルールも体に染み込むまで一緒に走って教えてあげてほしいのです。
自転車は、子どもにとって初めての「自分の足」です。その足で、どこへでも行けるようになる。それはとても素晴らしいことで、同時に少しこちらの胸が痛くなることでもあります。
はやま
天気のいい休日に、家族そろってサイクリング。そんな日が来ることを楽しみに、今日も練習を続けてみてください。
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