絵本『パパはウルトラセブン』── エレキングには勝てても、娘には勝てない

父と娘

絵本なのに、パパが泣く。

そういう本が世の中にはあって、『パパはウルトラセブン』はまさにその筆頭です。子どもに読み聞かせながら、こっそり目頭を押さえているパパが日本中にいるはずです。わたしもそのひとりでした。

エレキングには勝てても、娘には勝てない

設定はシンプルです。ウルトラセブンにも娘がいた、という架空の物語。

エレキングやゴドラ星人に「お前なんか大嫌いだ」と言われても全然へっちゃらなのに、「パパなんてきらい!」と娘に言われたとたん、おたおたしてハートブレイクしているセブン。正義のために戦う強くたくましいヒーローなのに、子どものおしりを叩きながら「本当にこれでいいのだろうか」と迷っているセブン。

そんな姿が、ポップなイラストでつづられていきます。

はやま

初めて読んだとき、何年かぶりにほろりとして、ううっ、と小さな嗚咽を漏らしていました。娘の隣でこっそりと。

地球の平和を守る大仕事にくらべると、うんとちっぽけな、でも本人にとっては切実な悩みと幸せ。そこに世のパパたちは自分を重ねて、共感しまくるわけです。

外ではいっぱしの顔をしていても、うちに帰ればみんなただの子煩悩パパですから。それはウルトラセブンも同じ、ということ。

子どもへのメッセージ、親へのメッセージ

この絵本の核心は、こんな言葉に集約されています。

パパはいう。「やさしいひとになるんだよ」
そんなパパもうれしかったり、落ちこんだり、争ったり、幸せだったりするんだ。それはね……愛する人がいるから。

子どもに「やさしい人になれ」と言いながら、自分も毎日争ったり落ち込んだりしている。その正直さが、じんわりと胸に染みます。

子どもが楽しみながら聞いて、親がぐっとくる。そういう二層構造になっている絵本は、読み聞かせの時間をとりわけ豊かなものにしてくれます。

子どもに読んでほしいのか、パパに読んでほしいのか

正直に言うと、この絵本はパパに向けて書かれている気がします。子育てにあまりかかわろうとしていないパパがいたら、ぜひプレゼントしてみてください。何かが変わるかもしれません。

対象年齢は3歳くらいから。ただし、本当に刺さるのは読み聞かせているパパのほうです。

はやま

娘が大きくなったいま読み返すと、また違う場所でぐっとくるから不思議。ちなみにこの本、娘のパパ愛も燃えあがらせるようで、読み終えるとベタベタしてきていました。

作品情報

タイトルパパはウルトラセブン
作・絵みやにしたつや
出版社学習研究社
シリーズおとうさんはウルトラマン
対象年齢3歳〜(読み聞かせ)

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