泥を顔に塗った話——大地46億年のスキンケアが、意外とすごかった

クレイ

誤解しないでほしいのですが、わたしはふだん顔にパックなどしません。

でもあるとき、「地球からの贈り物」「太古からの万能薬」などと煽り文句が並ぶ本を読んで、「本当かしら?」とムラムラしてしまったのです(好奇心が、です)。気づいたら1キログラムのクレイをポチっていました。

で、試してみたら、お肌がすべすべになりました。

はやま

比較対象がないから「すごいのかどうか」はわからないんですけどね(笑)。とりあえず妻にも勧めたら気に入ってくれて。その後ふたりして飽きてしまい、メルカリに出したら女性の方がものすごく喜んで買ってくれました。クレイを買った甲斐がありました(笑)

という個人的体験はさておき、このクレイというもの、調べれば調べるほどに面白い素材なのです。

美容成分としてではなく、地球の歴史から紐解いてみると、ちょっとロマンがあって、知的好奇心も満たされる話になってくるんですね。今日はそんな話をします。

クレイって何者? 大地が数億年かけてつくったもの

クレイとは、平たく言えば粘土です。

太古の地球に降り積もった火山灰が、数百万年から2億年という気の遠くなるような時間をかけて変成してできた鉱物。地下で静かに眠っていた岩盤のような塊を掘り起こし、乾燥させて細かく砕いたものが、わたしたちが「クレイ」として手にするものです。

採掘される土地の環境やミネラル組成によって、クレイの色は白、黄、緑、赤、ピンクとさまざまに異なります。フランス産のグリーンクレイや、モロッコの濃紺のガスール(ラスール)など、産地によって個性があるのもおもしろい。

はやま

化粧品コーナーに並ぶカラフルなクレイのパックを見て「なんか怪しい……」と思っていたのですが、あれは着色料じゃなくて天然の色なんですよね。知らなかった。

古代から世界中の女性が使ってきた、素朴な美容法

クレイを美容や健康に使う歴史は古く、古代エジプト、古代ギリシャ、ローマ帝国の時代にまで遡ります。クレオパトラが肌に塗っていたとも言われていますし、アラビアの女性たちはガスール(ラスール)クレイを何世紀にもわたって髪と肌のケアに使ってきました。

フランスでは現在も「アルジル(argile)」と呼ばれるクレイが薬局(ファルマシー)の棚に普通に並んでいます。美容品ではなく、れっきとした薬局の商品として。

海を渡ってアメリカでは、ナバホ族などネイティブ・アメリカンの人々が皮膚の治療にクレイを塗布していたという記録が残っています。

「大地の恵みを肌に塗る」——。この発想が、世界中で独立して生まれていたこと自体、クレイに何かがあるのだろうと思わせます。

なぜ肌に効くのか? 科学で見えてきたこと

クレイの粒子は非常に小さく、その表面はマイナスの電荷を帯びています。一方、皮膚の毛穴の奥に詰まった汚れや過剰な皮脂はプラスに帯電していることが多い。

マイナスとプラスは引き合います。

つまりクレイを顔に塗ると、磁石のように毛穴の奥の汚れを引き寄せ、洗い流すときに一緒に取り除いてくれるわけです。古くから「泥パック」が肌をきれいにすると言われてきた理由が、ここにあります。

さらに研究では、クレイが余分な皮脂を吸収し、コラーゲン(肌のハリをつくるタンパク質)の生成を促す可能性も示されています。ニキビへの効果を示す研究もあります。

スキンケアに向くクレイの種類

クレイにはいくつかの種類があり、主成分となる鉱物によって性質が異なります。スキンケアでよく使われるのは次の3種類です。

カオリン(カオリナイト)
吸着力がおだやかで、乾燥肌や敏感肌にも使いやすい。中国の「高嶺(カオリン)」が産地の由来。白いパウダーが一般的です。

グリーンクレイ(イライト)
フランス産が有名。ミネラルが豊富で吸着力が高く、毛穴の引き締め効果が期待できます。脂性肌向き。

ベントナイト(モンモリロナイト)
3種の中でもっとも吸着力・吸収力が高いクレイ。アメリカのワイオミング州フォートベントン近辺で大量に産出されたことからこの名があります。水を吸うと元の体積の何倍にも膨潤するのが最大の特徴で、その「スポンジ効果」が毛穴の洗浄力の高さにつながっています。

はやま

ちなみにベントナイトクレイ1グラムの分子表面積は約800平方メートルにもなるとか(マサチューセッツ工科大学の研究)。6グラムで東京ドーム一個分。その表面全体で汚れを吸着するわけですから、理屈上はかなりの洗浄力があることになります。

実際の使い方——パックとクレイバス

クレイの楽しみ方はシンプルです。

フェイスパック
クレイパウダーを水(またはローズウォーターなど)で溶いてペースト状にし、顔に薄く塗ります。5〜10分ほど置いて、完全に乾く前(少し湿り気が残っているうち)に洗い流す。乾ききってしまうと、今度は肌の水分まで引っ張ってしまうので注意を。週1〜2回が目安です。

クレイバス
大さじ2〜3杯ほどのクレイパウダーをお湯に溶かして入浴します。全身の毛穴にアプローチでき、湯冷めしにくいという声も多い。かなりリラックスできます。

どちらも敏感肌の方は最初にパッチテストを。金属製のボウルや器具は使わず(クレイが電荷を失うため)、木やガラス、陶器のものを使うのがベターです。

おわりに——「地球の恵み」というロマン

わたしたちが「クレイ」として手にしているのは、数百万年〜数億年という時間をかけて大地が生み出したもの。

その粒子は目に見えないほど小さく、電荷を帯びていて、現代の皮膚科学でもその働きが少しずつ解明されつつあります。科学で裏づけが取れるより遥か前から、世界中の女性たちが「何となくいいもの」として使い続けてきた。

そういう知恵って、やっぱり本物だと思います。

まずは1袋、試してみてください。好奇心の強い男性でも。なかなかよかったですよ(笑)。

残ったらメルカリで売ると、きっと喜ばれます。

 

さまざまな種類のクレイ クレイの選び方と使い方——パック、クレイバス、ヘアケアまで

※本記事は美容・セルフケアを目的とした情報提供です。医療行為や特定疾患の治療・予防を目的としたものではありません。肌に異常を感じた場合は使用を中止し、専門家にご相談ください。

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